
「まず何から手をつければいいのかわからない」「最短でどれくらいの期間がかかるのか知りたい」という建設会社さまに、最初に読んでいただきたいページです。
経営事項審査(経審)そのものについて詳しく知りたい方は、「経営事項審査(経審)とは?手続きの基本を解説」のページで、経審点数(P点)について詳しく知りたい方は、「簡単にわかる-経審点数(P点)の見方・目安・計算方法」のページで、それぞれ詳しく解説しています。
また、取得後に「どうやって落札の可能性を高めるか」という実践的な戦略は、「東京都の公共工事を落札するための完全必勝ガイド」で詳しく解説しています。

東京都の経営事項審査や公共工事の入札参加資格取得の専門家。入札の格付けをEからBにランクアップした実績や、クライアントが2億円を超える東京都の公共工事を受注するなど、専門知識をフルに使って、建設会社の公共工事の入札をサポート。「はじめての方のための経営事項審査入門書」を出版。東京都の公共工事の手続き・入札戦略に関するインタビューは、こちら。
(動画解説:東京都の公共工事の入札資格の「仕組み」と「手続き」)
「東京都の公共工事に参加したいけど、入札資格の取得の仕方がよくわからない…」という理由で、公共工事へのチャレンジをあきらめてしまっている建設会社さまは、非常にもったいないことをしています。入札参加資格の「仕組み」と「手続き」の全体像を動画で簡単に理解したいという方は、ぜひ、下記の無料動画セミナーをご覧ください。
【1】東京都の「入札参加資格」とは何か?
東京都の入札参加資格とは、東京都が発注する工事・物品・委託などの案件に入札するために、あらかじめ取得しておかなければならない資格のことです。
東京都に限らず、国や地方公共団体の仕事は、誰でも自由に受注できるわけではありません。発注者である東京都から見て「この会社に発注しても大丈夫か」を事前に審査し、有資格者名簿に登録された会社だけが入札に参加できる、という仕組みになっています。
この入札参加資格は、大きく分けると次の2種類があります。
| 東京都の入札参加資格の種類 | |
|---|---|
| 建設工事等競争入札参加資格 | いわゆる公共工事のほか設計や測量など |
| 物品買入れ等競争入札参加資格 | 物品の販売・委託(役務の提供)など |
このページでは、このうち「公共工事」の入札参加資格について、取得までの流れを中心に解説していきます。
【2】「公共工事」と「物品・委託」の入札参加資格の違い
多くの人が、東京都の入札参加資格について「公共工事など」と「物品・委託」の2つに分かれていることを理解できていません。「東京都 入札参加資格」と検索すると、公共工事の情報と、物品・委託の情報が混在して出てくるため、まずはこの違いを整理しておきましょう。
| 公共工事(建設工事等) | 物品・委託 | |
|---|---|---|
| 対象業種 | 土木・建築・電気・管工事など 109業種 |
物品(防災用品など)30種目 委託(印刷・清掃など)37種目 |
| 事前審査 | 経営事項審査(経審)が必須 | 経審は不要 |
| 許可の要否 | 建設業許可が必須 | 建設業許可は不要 (許認可が必要な業種あり) |
| 格付け | A~Eの等級+順位による格付け | A~Cの等級 |
公共工事の入札参加資格を取得したいのであれば、物品・委託とは異なり、経営事項審査(経審)という事前の手続きが必ず必要になる、という点をまず押さえておいてください。この経審は、公共工事の入札参加資格「特有」の、そしてもっとも「複雑」な手続きです。
(物品・委託の入札参加資格の申請手続きについて詳しく知りたい方は、こちらの「東京都入札参加資格申請のこれだけは押さえておきたい基礎知識」のページもあわせてご参照ください。)
【3】東京都の入札参加資格(公共工事)を取得するまでの全体の流れ
東京都の公共工事の入札参加資格を取得するまでの流れは、御社が建設業許可を持っていることを前提に、おおむね以下のステップで進みます。
| 東京都の入札参加資格(公共工事)を取得するまでの流れ | |
|---|---|
| ① | 決算変更届の提出 |
| ② | 経営状況分析の申請(Y点の算出) |
| ③ | 経営事項審査の申請 |
| ④ | 経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書(経審結果=総合評定値P点の確定) |
| ⑤ | 電子証明書+ICカードリーダの購入 |
| ⑥ | パソコンの環境設定 |
| ⑦ | 東京都電子調達システムから入札参加資格申請 |
| ⑧ | 申請承認~有資格者名簿への登載 |
①~④ 経営事項審査(経審)の手続き
公共工事を発注者から直接請け負うには、まず経営事項審査(経審)を受けなければなりません(根拠条文:建設業法第27条の23)。決算変更届の提出から、経営状況分析(Y点)、経営規模等評価(X1・X2・Z・W点)を経て、最終的に総合評定値P点が算出されます。経審の詳しい手続き内容は、「経営事項審査(経審)とは?手続きの基本を解説」のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
⑤~⑦ 電子証明書の準備から入札参加資格申請まで
経審の結果通知書(総合評定値P点)を受け取ったら、いよいよ東京都への入札参加資格の申請です。ここで注意したいのが、東京都の入札参加資格申請は、すべて「東京都電子調達システム」を利用した電子申請のみで、郵送申請や対面申請は受け付けていないという点です。電子申請を行うには電子証明書とICカードリーダーが事前に必要になりますが、この準備には時間がかかるため、次の【4】で詳しく解説します。
⑧ 申請承認~有資格者名簿への登載
東京都電子調達システムを利用して、入札参加資格を電子申請した後、申請が承認されれば、有資格者名簿に登載されます。有資格者名簿に登載されることによって、東京都入札参加資格(公共工事)の資格が適用され、入札に参加することができるようになります。
【4】東京都ならではの注意点:電子証明書は「申請前」に必要
東京都の入札参加資格申請には、他県にはない大きな特徴があります。それは、入札用電子証明書とICカードリーダを事前に購入し、パソコンの環境設定を済ませてからでないと、入札参加資格そのものを申請できないという点です。
他県の場合、「入札参加資格の取得が先」で「電子証明書などの購入が後」という順番が一般的ですが、東京都の場合は順番が逆で、「電子証明書などの購入が先」、「入札参加資格の取得が後」になります。この順番を知らずに経審を受けただけで満足してしまうと、電子証明書の事前準備に、想定より時間がかかり、入札参加資格の取得手続きが長引く原因になりますので、注意してください。
電子証明書は「電子入札コアシステム対応の民間認証局」限定
電子証明書やICカードリーダーは、家電量販店やインターネット通販では購入できません。「電子入札コアシステム対応の民間認証局」という指定の民間機関からのみ購入することができます。「日本電子認証(株)」の「AOSignカード」、「NTT西日本(株)」の「e-ProbatioPS2」など、いくつかの認証局が対応しています。
発行に必要な書類と受け取り方法
電子証明書は、申し込めばすぐに発行されるものではありません。必要書類として、
- 「代表者の住民票」
- 「代表者個人の印鑑証明書」
- 「会社の登記簿謄本」
- 「会社の印鑑証明書」
の4つが必要になります。申込書とともにこれらを郵送し、不備がなければおおむね1週間程度で発行されます。また、電子証明書は代表者の住民票上の住所に「本人限定受取郵便」で発送されるため、代表者本人が身分証明書を持って郵便局へ受け取りに行かなければなりません。代表者が長期不在の場合や、海外出張の予定がある場合など、電子証明書の受取に時間がかかるケースも散見されます。代表者のスケジュール確保も忘れずに行い、スムーズに電子証明書の受領ができるように体制を整えておきましょう。
受け取った後も「設定」が3段階
電子証明書を無事に入手できても、それだけではまだ入札参加資格を申請できません。
「①電子証明書を利用するためのソフトのインストール」
「②東京都電子調達システムを利用するためのパソコン設定」
「③電子証明書の東京都電子調達システムへの登録」
という、3つの別々の設定作業が必要です。
それぞれ手引きの掲載場所が異なるため、初めて取り組む方にとっては、ここが最も手間取りやすいポイントです。
申請する業種は絞ったほうがよい
なお、入札参加資格を申請する業種の数に制限はありませんが、「建設業許可を受けている業種であること」「経営事項審査を受けている業種であること」が条件になります。過去の工事実績がない業種で申請すると、A~Eの等級が付かない「無格付(X表記)」になり、実質的に入札の機会がほとんど得られません。
できるだけ多くの業種で申請するより、自社の得意な業種を2~3業種に絞って申請するほうが、効果的な戦略だといえます。
【5】最短でどれくらいの期間がかかるのか?
「今すぐ公共工事の入札に参加したい」という建設会社さまも多いのですが、最短でどれくらいの期間がかかるかは、御社が「経営事項審査をすでに受けているか否か」で大きく変わります。
経営事項審査を受けていない場合:最短でも3か月以上
まだ経審を受けていない場合、決算変更届の提出・経営状況分析の申請から始めなければなりません。
| 経営事項審査を 受けていないケース |
|
|---|---|
| 入札に参加できるように なるまでの期間 |
合計3か月以上 |
経営事項審査をすでに受けている場合:最短2か月程度
すでに経審を受けている場合は、「電子証明書の取得」「パソコンの環境設定」といった事前準備と、実際の入札参加資格申請手続きが中心になります。ただし、経審の結果通知書が手元に届いてから、その結果が「東京都電子調達システム」に反映されるまでにもタイムラグがあることは押さえておいてください。
| 経営事項審査を 受けているケース |
|
|---|---|
| 入札に参加できるように なるまでの期間 |
合計2か月以上 |
「役所の担当者から至急、入札資格を持つように言われている」というように、急いでご相談にお越しになる方もいらっしゃいますが、東京都の申請受付スケジュール(次項で解説)は、どんなに急いでいても変更することができません。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることをお勧めします。
【6】申請受付スケジュールと資格適用日
東京都の入札参加資格は、申請すればすぐにその日から使えるわけではありません。東京都は、公共工事の入札参加資格の申請受付スケジュールを、次のように定めています。
| 東京都の入札参加資格 (公共工事) 申請受付スケジュール |
|
|---|
たとえば、「来月から入札に参加したい」という場合、今月の20日までに申請を完了させる必要があります。すでに20日を過ぎてしまっていたら、資格適用は来月1日ではなく、再来月1日になってしまいます。このように、資格適用日は毎月1日に固定されており、それに間に合わせるには、遅くとも前月の20日までに申請を完了させておく必要があります。
なお、このほかに「定期受付」(2年に1度、丸々2年度分の資格を取得できる受付)もありますが、随時受付を利用する場合は、上記の毎月20日ルールに従うことになります。
また、東京都の入札資格のうち、物品・委託の場合と公共工事とで、スケジュールは異なります。この点も素人の人が、混乱しやすい点です。東京都の物品・委託の入札参加資格の申請スケジュールも東京都によって固定されています。詳しくは、「東京都入札(物品・委託)資格取得までのスケジュール」をご覧ください。
【7】等級(格付け)と発注標準金額の関係
公共工事の入札参加資格を取得すると、業種ごとに「A」「B」「C」「D」「E」という等級(格付け)が付与されます。この等級は、経審の結果である総合評定値P点と、過去の工事実績である主観点数(過去最高完成工事経歴)を、総合的に考慮して決定されます。
以下は、東京都が発注する建築工事における等級と発注標準金額の目安です。
| 客観点数 | 主観点数 | 等級 | 発注標準金額 |
|---|---|---|---|
| 900点以上 | 4.4億点以上 | A | 5億7千万円以上 |
| 750点以上 900点未満 |
2.2億点以上 4.4億点未満 |
B | 2億8千万円以上 5億7千万円未満 |
| 650点以上 750点未満 |
6000万点以上 2.2億点未満 |
C | 7千8百万円以上 2億8千万円未満 |
| 600点以上 650点未満 |
1600万点以上 6000万点未満 |
D | 2千1百万円以上 7千8百万円未満 |
| 600点未満 | 1600万点未満 | E | 2千1百万円未満 |
東京都の場合、①P点(客観点数)を基準に「客観等級」を格付けし、②過去最高完成工事経歴を基準に「主観等級」を格付けし、③客観等級と主観等級のうち、より低い方を「最終等級」として格付けします。
| ①客観点数 | 経営事項審査の結果である総合評定値P点 |
|---|---|
| ②主観点数 | 過去最高完成工事経歴の税込請負金額 (ただし民間工事は、×1/2で主観点を算出) |
| ③最終等級 | 客観点数により算出された客観等級と、主観点数により算出された主観等級を比較し、より低い方が最終等級 |
客観等級がCでも主観等級がDであれば、最終等級はDに引きずられてしまうため、P点対策だけでなく、工事実績の積み上げも同時に意識しておく必要があります。
等級が低いと、参加できる公共工事の規模が小さくなってしまいます。より詳しい「発注標準金額」や「東京都の入札参加資格のランク」について知りたいかたは、「東京都の公共工事の等級格付・発注標準金額について、教えてください」のページをご覧ください。
また、業種ごとの具体的な等級・発注標準金額をより詳しく知りたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
【8】東京都・区市町村・国(省庁)の入札参加資格は別物
「東京都の入札参加資格を取得すれば、新宿区や渋谷区といった区の入札にも参加できるのでは?」というご質問をよくいただきます。
結論から言うと、東京都の入札参加資格と、区市町村の入札参加資格は別物です。新宿区や渋谷区などの「区」、立川市や三鷹市などの「市」は、東京都内にあっても東京都とは別の自治体ですので、それぞれの区市町村ごとに、別途、入札参加資格を取得する必要があります(多くの区市町村は「東京電子自治体共同運営電子調達サービス(e-Tokyo)」を利用しています)。
同様に、防衛省や財務省といった国の省庁の入札に参加したい場合も、東京都の入札参加資格とは別に「各省庁の入札資格」を取得する必要があります。「東京都内にある機関だから、東京都の資格でまとめて対応できる」というのは誤解ですので、注意しましょう。
また、入札参加資格は全国一律ではありません。東京都の資格を取得すれば、神奈川県や埼玉県の入札にも自動的に参加できると勘違いされる方もいますが、他県の公共工事に参加したい場合は、その都道府県ごとに、別途、入札参加資格を取得する必要があります。
【9】申請でつまづきやすいポイント
1.経審を受けただけでは、入札に参加できない
経審は、あくまでも入札の等級格付けの基準となる総合評定値P点を取得するための「事前審査」に過ぎません。経審の結果通知書を受け取った後、あらためて東京都電子調達システムから入札参加資格の申請を行わなければ、入札に参加することはできません。
2.同時に申込できない業種がある
東京都の公共工事の入札参加資格では、同時に申込できない業種があります。例えば、「07建築工事」と「37一般塗装」を同時に申請することはできません。この場合、「07建築工事」の業種を取得するか?「37一般塗装」の業種を選択するか?どちらか一方を選らばなければなりません。
| 同時申請不可業種 一覧 | ||
|---|---|---|
| 組み合わせその1 |
|
|
| 組み合わせその2 |
|
|
3.「確定している決算」がないと申請できない
申請日時点で確定している決算がない法人は、東京都の入札参加資格(公共工事)を申請することができません(ただし、会社の分割、合併、譲渡により新規に会社を設立した場合を除く)。
4.電子証明書の有効期限切れに注意
電子証明書には、1年~最長5年の有効期限があります。「お目当ての入札に参加しようと思ったら、電子証明書の有効期限が切れていた」という事態を避けるため、有効期限の管理は徹底しておきましょう。
5.「入札参加資格を取得したこと」と「個別の案件に入札できること」は別
入札参加資格を取得しても、それだけで自動的にすべての案件に参加できるわけではありません。個別の案件ごとに「等級」「本店・営業所の所在地」「配置技術者の条件」などの要件が定められており、これを満たさなければ、その案件には入札できません。この点も含めた実践的な落札戦略は、「東京都の公共工事を落札するための完全必勝ガイド」で詳しく解説しています。
「自社は、結局どこから手をつければいいんだろう…」
経審の受審から電子証明書の準備、入札参加資格の申請、等級格付けまで、公共工事の入札参加資格の取得には、いくつもの手続きが複雑に絡み合っています。「何から手をつけていいかわからない」と感じるのは、決して珍しいことではありません。
私たち行政書士法人スマートサイドでは、入札の格付けをEからBにランクアップさせた実績や、クライアントが2億円を超える東京都の公共工事を受注した実績があります。電子証明書の発行申込・受取り代行、パソコンの環境設定、電子申請、受付票の管理まで、一切をサポートさせていただくことが可能です。御社の状況に応じた具体的なアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談ください。
【10】東京都の公共工事の入札参加資格を検討している方へ
ここまで、東京都の公共工事の入札参加資格を取得するまでの全体像について、解説してきました。「経審」「電子証明書の準備」「入札参加資格申請」「等級格付け」と、いくつもの手続きが連続しており、決して簡単な道のりではないことがお分かりいただけたかと思います。
「手続きに時間を割く余裕がない」「どうせやるなら、より良い等級を狙いたい」という建設会社さまは、ぜひ、専門家である私たち行政書士法人スマートサイドにご相談ください。
より実務的な内容を知りたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
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このページでは、これから東京都の公共工事の入札に参加したいと考えている建設会社さまのために、全体像をつかんでいただくことを重視して記載しました。個別の状況に応じた具体的なアドバイス(経審のP点対策、等級シミュレーションなど)をご希望の方は、事前予約制の有料相談のお申込みをおすすめします。
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