相談者:建設会社取締役
東京都の公共工事の入札資格を取得したいです。先日の役員会議の結果、わが社の規模感から、建築工事のBランクを狙っていきたいという希望があります。現在の状況から、Bランクを取得することはできるのでしょうか?最低でもCランクは欲しいので、まずは、スマートサイドさんに、有料相談をお申込みしたいのですが。
回答者:行政書士
有料相談のお申込みありがとうございます。「建築工事」の「B」または「C」のランクが欲しいということですね。承知しました。実際に弊所にお越し頂き、御社の資料や経審の結果通知書を拝見しないことにはなんとも言えませんが、まずは、一般的に「東京都の公共工事の等級格付・発注標準金額」について、ご案内させて頂きますね。
東京都の公共工事の等級格付・発注標準金額
東京都は「01:道路舗装工事、02:橋りょう工事、03:河川工事、04:水道施設工事、05:下水道施設工事、06:一般土木工事、07:建築工事」の7つの業種について、「A~E」の5つの等級を定めています。また「08:電気工事、09:給排水衛生工事、10:空調工事」の3つの業種について、「A~D」の4つの等級を定めています。なお、上記以外の業種については、等級を定めず、順位のみを定めています。
それでは、「A~E(またはA~D)」という等級は、どうやって格付けされているのでしょうか?また、A~Eの等級で、発注標準金額は、どのように変わってくるのでしょうか?ここでは、「07:建築工事」と「08:電気工事」の2つに絞って解説させて頂きます。
「07:建築工事」の等級格付の方法
「07:建築工事」は、「A~E」の等級に分類されます。その分類の仕方は、以下の表の通りです。
客観点数 | 客観等級 | 主観点数 | 主観等級 |
---|---|---|---|
900点以上 | A | 4.4億点以上 | A |
750点以上900点未満 | B | 2.2億点以上4.4億点未満 | B |
650点以上750点未満 | C | 6,000万点以上2.2億点未満 | C |
600点以上650点未満 | D | 1,600万点以上6,000万点未満 | D |
600点未満 | E | 1,600万点未満 | E |
- 客観点数とは、経営事項審査の結果である総合評定値P点を指します。
- 主観点数とは、過去6年以内に指定地域内(東京都内および関東近郊)で完成させた完成工事のうち、一番、金額が大きい工事の請負金額を指します。ただし、発注者が民間の場合、請負金額に1/2を乗じた金額が主観点数になります。
客観点数 | 経営事項審査の総合評定値P点の点数 |
---|---|
主観点数
(過去最高完成工事経歴) |
過去6年以内に指定地域内で完成させて工事のうち、1番金額が大きい工事の請負金額
但し、民間発注の場合、1/2を乗じた金額 |
例えば、客観点数が770点、主観点数が3億点の場合、客観等級は「B」、主観等級は「B」となり、この会社の最終等級は「B」になります。
しかし、客観点数が770点でも、主観点数が2億点の場合、客観等級は「B」、主観等級は「C」となり、客観と主観の間ににズレが生じます。この場合、より低い等級である「C」が、最終的な等級になります。
「07:建築工事」の発注標準金額
東京都の公報には、「07:建築工事」の、等級に応じた発注標準金額が以下のように定められています。
等級 | 発注標準金額 | ||||
---|---|---|---|---|---|
A | 4億4千万円以上 | ||||
B | 2億2千万円以上4億4千万円未満 | ||||
C | 6千万円以上2億2千万円未満 | ||||
D | 1千6百万円以上6千万円未満 | ||||
E | 1千6百万円未満 |
この場合、最終等級が「B」ランクであれば、2億2千万円以上4億4千万円未満の公共工事の入札に参加することができる一方で、最終等級が「C」ランクであれば、6千万円以上2億2千万円未満の公共工事の入札にしか参加することができないということになります。
「08:電気工事」の等級格付の方法
「08:電気工事」は、「A~D」の4つの等級に分類されます。上記の「07:建築工事」とは、基準となる数字や金額が異なりますので、別途、表を確認する必要があります。「08:電気工事」の等級格付の分類の仕方は以下の表の通りです。
客観点数 | 客観等級 | 主観点数 | 主観等級 |
---|---|---|---|
720点以上 | A | 1,000万点以上 | A |
530点以上720点未満 | B | 500万点以上1,000万点未満 | B |
480点以上530点未満 | C | 100万点以上500万点未満 | C |
480点未満 | D | 100万点未満 | D |
仮に御社の経営事項審査の点数(総合評定値P点)が、500点だとした場合、客観等級はC等級になります。続いて、御社の主観点数(過去最高完成工事経歴)の金額が600万円だった場合、主観等級はB等級になります。主観がBでも客観がCなので、御社の最終等級は、より低いC等級となります。
なお、ここでも、民間発注の工事については、1/2を乗じた額が主観点数になることに注意してください。発注元が公共の場合、その工事の請負金額がそのまま主観点数になります。しかし、発注元が民間の場合、請負金額がそのまま主観点数になるのではなく、1/2を乗じた額が主観点数になることに注意しましょう。
「08:電気工事」の発注標準金額
東京都の公報には、「08:電気工事」の、等級に応じた発注標準金額が以下のように定められています。
等級 | 発注標準金額 | ||||
---|---|---|---|---|---|
A | 5千5百万円以上 | ||||
B | 1千8百万円以上5千5百万円未満 | ||||
C | 6百万円以上1千8百万円未満 | ||||
D | 6百万円未満 |
「08:電気工事」の最終等級が「C」の場合、「6百万円以上1千8百万円未満」の公共工事の入札に参加することができるようになります。
等級格付・発注標準金額をより詳しく知りたい人へ
行政書士
自分の会社が実際に「どの等級になるのか?詳しく知りたい」という方は、1時間11,000円の有料相談をお申込みいただくこともできます。等級や発注標準金額についてご説明させて頂くことはもちろんのこと、経審の結果や過去の実績などを伺いつつ、実際の等級はどれくらいになるのかを、シミュレーションさせて頂きます。
さて、東京都の公共工事の入札参加資格における「等級・格付」「発注標準金額」は、理解できましたか?
このページに記載されていることを1回で理解するのは、少し難しいかもしれません。また、このページで記載した「07:建築工事」「08:電気工事」の他にも、「01:道路舗装工事」や「06:一般土木工事」についても、ご依頼が非常に多いです。
そのため、弊所では、ご希望の方にのみ、1時間11,000円の有料相談を承っております。
自分の会社の等級がどのくらいになるのか?発注標準金額がどれくらいか?といった情報は、ネットで検索してみても、なかなか、正確に知ることは、難しいかもしれません。
公共工事の入札手続きでお困りの人は、もちろんのこと、等級・格付・発注金額について、教えて欲しいという人は、ぜひ、下記問い合わせフォームから、「まずは、有料相談を申し込む」にチェックを入れて、送信してください。みなさまからのご連絡をお待ちしております。