相談者:建設会社の経理担当
建設会社の経理を担当しています。社長から、行政書士法人スマートサイドさんに経営事項審査の手続きを依頼するように言われています。経営事項審査をする前に、経営状況分析が必要とのことですが、経営状況分析とは、具体的に「会社のなに」を「どのように」分析するのでしょうか?
回答者:行政書士
おっしゃる通り、経営事項審査を受けるには、事前に経営状況分析を申請して「経営状況分析の結果通知書(Y点)」を取得しておかなければなりません。ひとことで、経営状況分析・Y点といっても、会社のなにをどのように分析しているか?気になるところですね。このページで詳しく解説させて頂きます。
経営状況分析とは?
公共工事の入札参加資格を取得するには、経営事項審査を受けて「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得しなければなりません。経営事項審査の結果の点数を、総合評定値P点と言います。この経営事項審査を受けるには、事前に経営状況分析を受けて、経営状況分析の結果通知書を取得しておかなければなりません。この経営状況分析の結果通知書にはY点という点数が記載されています。
総合評定値P点は、X1×0.25+X2×0.15+Y×0.20+Z×0.25+W×0.15という複雑な計算式を用いて算出しますが、このP点を算出する際には、「Y点(=経営状況分析の結果)」が必要です。そのため、経営事項審査を受けるには、先に経営状況分析を受けて、Y点(=経営状況分析の結果通知書)を取得していなければならないわけです。
それでは、経営状況分析とは、いったい会社のなにをどうやって分析しているのでしょうか?以下では「負債抵抗力」「収益力・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つに分けて説明をしていきたいと思います。
負債抵抗力
「負債抵抗力」とは、簡単に言うと、「会社が自社の負債に対して、どの程度、強く耐えられるか?」「経済的なショックや困難にあっても、財務的に問題なく運営できるか?」という能力のことを言います。
純支払利息比率
純支払利息比率は、「実質的な利息負担額(支払利息-受取利息配当金)」が、売上高に占める割合を示します。
計算式:(支払利息-受取利息配当金)÷売上高
負債回転期間
期末における負債の合計が、月商の何か月分になるのかを示します。例えば、月商の1か月分で負債を返却できる会社と、月商の12か月分で負債を返却できる会社を比較した場合、前社の方が、Y点が高くなります。
計算式:負債合計÷(売上高÷12か月)
収益性・効率性
「収益性・効率性」とは、読んで字のごとく、会社がどれだけ、効率良く収益を上げているか?を表します。
総資本売上総利益率
総資本に対して、売上総利益(粗利)の割合がどれだけあるかを示す指標です。総資本が多くても粗利が少ないと、Y点は低くなります。一方で、総資本が少なくても粗利が多いと、Y点は高くなります。
計算式:売上総利益(粗利)÷総資本(2期平均)
売上高経常利益率
売上高に対して経常利益がどれだけあるかの割合を示す指標です。経常利益が多ければ多いほど良いのは、みなさんご存知だと思いますが、売上高に対する経常利益の割合を見るのが「売上高経常利益率」です。
計算式:経常利益÷売上高
財務健全性
財務健全性とは、会社の財務内容がどれだけ健全か?を示す指標ですが、言い換えると、どれだけつぶれにくいか?倒産しにくいか?を表す指標と言うことができます。
自己資本対固定資産比率
長期にわたって使用し、かつ、比較的に高額な資産であることが多い固定資産(土地、建物、建設機械など)の取得費用をどれだけ、自己資本でまかなえているか?を表す指標です。例えば、高額な不動産(建物や土地)を、他者(銀行など)からの借入で購入するよりも、自己資本によって購入する会社の方が、財務健全性が高いと言えます。
計算式:自己資本÷固定資産
自己資本比率
自己資本が、総資産のどれくらいを占めているか?を表す指標です。総資産は、「自己資本+他者資本」ですので、総資産における自己資本の割合が多ければ多いほど、倒産しにくい会社=財務が健全な会社ということができます。
計算式:自己資本÷総資本
絶対的力量
絶対的力量とは、会社の営業キャッシュフローおよび利益剰余金からなります。いままで説明した「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」の3つが、いずれも相対的評価なのに対して、「営業キャッシュフロー」「利益剰余金」の2つからなる絶対的力量は、金額そのものが評価の対象となる絶対的評価であるのが特徴です。
営業キャッシュフロー
営業活動により獲得したキャッシュフローの大きさを1億円単位で示した指標
計算式:営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億円
利益剰余金
会社内部で留保された利益剰余金大きさを1億円単位で示した指標
計算式:利益剰余金÷1億円
経営状況分析の結果であるY点を上げるには?
経営状況分析が、会社の「なに」を「どのように」分析しているか?が、お分かりいただけましたでしょうか?「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」という聞き慣れない言葉が出てきました。これらの言葉の意味や計算方法については、必ず理解しなければならないというものではありません。
経営事項審査や経営状況分析の手続きを行政書士法人スマートサイドにご依頼頂くことによって、公共工事の入札参加資格を取得することができますので、どうぞ、安心して弊所にご依頼ください。
さて、ここまでお読みいただいた方の中には、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」という言葉や、それぞれの中身、計算式を覚えることなんてできない…とお困りの人もいるかもしれませんね。でも安心してください。
みなさんが、これらの言葉の意味や計算式を理解する必要はありません。確かに経営状況分析は、経営事項審査を受けるにあたって、必ず、必要な手続きです。しかし、こういった手続きは、すべて弊所にご依頼頂くことができます。
少し余談になりますが、このページで説明した「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」は、全部が全部、同じように重要なわけではありません。実は、Y点への寄与度が、それぞれの指標によって異なってくるのです。
例えば、「絶対的力量」は、キャッシュフローや利益剰余金といった額自体が評価の対象になる絶対的評価ですので、中小企業では、対策が難しい指標になっています。
一方で、「負債抵抗力」の中にある「純支払利息比率」や、「収益性・効率性」の中にある「総資本売上総利益率」については、財務諸表の数字を確認したり、税理士の先生と打ち合わせを行うことによって、より良い点数に導くことが可能です。
このように、
- ただ、経営状況分析を受ければよい
- なんとなく、経営事項審査が通れば良い
というわけではなく、自分の会社にとって、どういった対策が必要なのか?どういった申請の仕方をするのが良い点数に結び付くのか?を考えながら、手続きを先に進めなければならないのです。
行政書士法人スマートサイドは、公共工事の入札参加資格申請の専門家として、御社の「経営状況分析」「経営事項審査」の手続きの全てを代行することが可能です。
もし、経営状況分析にお困りの人がいれば、ぜひ、下記問い合わせフォームから、メールにてご連絡下さい。