【WEB版】はじめての方のための経営事項審査“入門書”_第1章:手続編(手続きの流れの把握)

みなさまへのご案内

このページは、行政書士法人スマートサイド(横内賢郎)が執筆した書籍「はじめての方の経営事項審査“入門書”」(Parade Books)の「第1章:手続編~手続きの流れの把握~」を、WEB用にリライトしたものです。

みなさまに、自由にお読みいただくために公開しておりますが、書籍購入をご希望の方は、ぜひ、Amazonのページから、お買い求め下さい(こちらをクリックするとAmazonのページに移動します)。

また、「第2章:内容編」「第3章:事例編」にも興味をお持ちの方については、以下のリンクからお進みいただくことができます。

「第2章:内容編~仕組みや重要ポイントの解説~」は、こちらをクリック

「第3章:事例編~モデルケースのご紹介~」は、こちらをクリック


はじめに

皆さんこんにちは。行政書士法人スマートサイド、行政書士の横内賢郎です。「はじめての方のための経営事項審査“入門書”」を手に取って頂き、誠にありがとうございます。私は東京都の文京区で建設業許可・経営事項審査・入札参加資格の申請を主な業務として取り扱っている行政書士法人の代表です。

弊所には、たくさんの建設会社から経審や公共工事の入札についてのご依頼・ご相談がありますが、はじめて経審を受ける方に対して、「手続・内容・仕組み・必要書類」などを説明することは、とても難しく感じます。もちろん、事務所開業当初に比べれば、経験も積んで申請実績も増えたうえに、さまざまなパターンの事例に触れることによって、お客さまである建設会社の方に、わかりやすく伝えるスキルも磨かれてきたと自負しています。

しかし、まったく初めての方に「本当に、わかってもらえているか?本当に、伝わっているか?」となると、まだまだ試行錯誤の連続です。「経営事項審査をより簡単に、よりわかりやすく説明するには、どうすればよいか?」ということを、常に念頭に置きながら、行政書士実務をこなしているといっても過言ではありません。

本書を書くきっかけは、まさに、この「はじめて経審にチャレンジする方たちに、どれだけわかりやすく伝えることができるか?」といった常日頃の心の中を形にしたいと思ったからです。

本書は、

  • 第1章 手続編~手続きの流れの把握~
  • 第2章 内容編~仕組みや重要ポイントの解説~
  • 第3章 事例編~参考にして欲しいケースのご紹介~

の3つの章から構成されています。

「第1章 手続編」では、手続きの概要・大まかな流れを把握できるように記載しました。経審を初めて受ける方にとっては、何よりも「手続きの流れ」を把握することが重要です。

「第2章 内容編」では、第1章に記載した各手続きの内容について、解説しています。Y点やP点など、皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、その中身について、わかりやすく解説しました。

「第3章 事例編」では、実際に弊所が申請した事例の中から、初めての方の理解に役立ちそうな6社を厳選し、参考にして欲しいケースとしてご紹介しています。特定の会社であることが判別できないように、一部、表現を工夫し、アレンジしている点はありますが、全て、実際の申請をもとに記載しています。

本書は「はじめての方のための経営事項審査“入門書”」という題名の通り、初めて経審を受ける方のために「わかりやすさ」「理解しやすさ」を最大限に重視して執筆しました。そのため、経審を十分に理解されている行政書士の先生や、すでに経審を何回も申請している建設会社の方からすると「ここのところをもう少し詳しく説明して欲しい」といった感想や「最新の改正点に触れられていない」などのご指摘を受けることがあるかもしれません。

しかし、あくまでも、本書は、冒頭に記載したように「はじめて経審にチャレンジする方たちに、どれだけわかりやすく伝えることができるか?」を目的にしていますので、『詳細さ・正確さ』よりも、『わかりやすさ』に配慮している点については、ご理解いただければと思います。それでは、さっそく、本文をお楽しみください。


この章では、「経営事項審査を経て入札参加資格を取得するまでの手続きの流れ」について、解説いたします。決算変更届、経営状況分析、経営事項審査、入札参加資格申請と、順番に記載していますが、はじめての方にとっては、手続きの流れ・全体像・概要を理解することは、とても重要です。冒頭に「年間スケジュール」を記載しましたので、手続きの流れのモデルケースとして、随時、参照しながら、ページを読み進めてください。

目次:手続編(手続きの流れの把握)
【1】年間スケジュール

【2】決算変更届

―1:決算変更届って何?

―2:税理士が税務署に出している決算報告とは別物

―3:経審を受ける会社にとって特に重要

―4:決算変更届を提出する際に必要な書類

―5:必要なのは法人事業税納税証明書?法人税納税証明書?

―6:決算書がなかなか上がってこないと

―7:副本はなくすな!

【3】経営状況分析

―1:経営状況分析は、何のためにする?

―2:経営状況分析は、誰がやるの?

―3:経営状況分析に必要な書類

―4:決算変更届の提出が先?それとも経営状況分析の申請が先?

―5:経営状況分析結果通知書の取得

【4】経営事項審査

―1:公共工事の入札に参加するなら

―2:経審の手数料

―3:経審は予約が必要?

―4:経審はスケジュール管理が命

―5:総合評定値P点の有効期間

―6:経審の結果は公表される!?

【5】入札参加資格申請

―1:経審を受ければ終わり・・・ではなかった!

―2:電子証明書とICカードリーダの準備

―3:入札参加資格を取得すると

【6】手続きの流れを理解するうえで重要な視点

―1:手続きのゴール地点から眺めてみる

―2:大事な案件を取りこぼすその前に

【第2章、第3章へのつづき】

【1】年間スケジュール

スケジュール 3月末決算の会社/東京都の場合
3月末 審査対象事業年度の終了
5月末まで 税務署への申告
7月末頃 分析機関への経営状況分析の申請

許可行政庁への決算変更届の提出

8月~9月 経営事項審査の予約

経営事項審査の受審

10月末まで 経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の取得

電子証明書+ICカードリーダの取得

入札用パソコンの環境設定

11月 東京都電子調達システムから入札参加資格申請
12月1日~ 有資格者名簿に登載

東京都の公共工事の入札に参加

上記の年間スケジュールは「東京都の入札参加資格を取得したい3月末決算の建設会社」を例としたモデルケースです。すべての建設会社、すべての自治体(都や県)が、このケースに当てはまるというわけではありません。

一般的には、3月末決算の会社が多いと思いますが、3月末決算の場合、税務署への決算の申告は、5月末までにしなければなりません。その後、税務用の財務諸表を建設業法用に書き換えたり、事業年度の工事経歴書を作成したりして、決算変更届及び経営状況分析の準備を行います。

決算変更届の提出が終了し、経営状況分析の結果が届いたら、経審の予約を入れて、経審を受けます。経審の結果である「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書(P点)」が届いたら、入札参加資格の申請を行います。経審の結果が届いてからでないと、公共工事の入札参加資格の申請を行うことができません。

東京都の場合、入札参加資格の申請後、承認が得られれば、翌月もしくは翌々月から、入札参加資格の有資格者名簿に登載されて、入札に参加することができます。

なお、入札参加資格の受付期間・名簿登載時期は、自治体ごとに異なります。経審を受けたとしても、入札参加資格の申請を受け付けていなければ、入札参加資格を申請することができません。また、入札参加資格を申請したとしても、入札名簿に登載(入札参加資格が適用)されるまでは、入札に参加することができません。

例えば

  • 入札参加資格申請の受付期間が、10月1日~11月30日
  • 入札名簿への登載(入札参加資格の適用)が、翌4月1日~

といった自治体(県または市)があった場合。9月末までに経審を終わらせて、11月30日までの入札参加資格の申請に間に合わせたとしても、12月や翌1月の時点では、入札参加資格を取得できていないので、翌4月1日になるまで入札に参加することができません。入札に参加したい自治体の入札参加資格の受付期間が「いつからいつまでなのか?」については、事前に確認しておくことをお勧めします。

以上が、初めて経審を受ける方が、事前に把握しておきたい年間のスケジュールになります。

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【2】決算変更届

まずは「決算変更届」について解説いたします。「決算変更届」は、建設業許可業者である以上、すべての会社が行わなければならない届出ですが、経審を受ける会社にとっては、とりわけ重要な手続きになります。

1:決算変更届って何?

経審を受けるにあたって、まず、最初に理解しなければならないのは「決算変更届」についてです。「決算変更届」とは、建設業許可を取得した建設業者が、毎事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければならない届出のことを言います。「事業年度終了報告」「決算報告」などと言ったりもしますが「決算後」に提出しなければならない「変更届」という書類一式であることから、本書では「決算変更届」という言い方で統一します。

この「決算変更届」は、経審を受けるか否かにかかわらず、毎年、決算終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければなりません。建設業許可更新の際に、未提出分の決算変更届をまとめて提出している会社を見かけます。しかし、建設業法11条2項には「許可に係る建設業者は、・・・毎事業年度終了後4か月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない」と記載されています。未提出だと「業種追加」や「建設業許可の更新」など重要な申請ができない場合もありますので、滞りなく提出するように心がけてください。

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2:税理士が税務署に出している決算報告とは別物

「決算変更届」は、税理士が税務署に提出している税務申告用の決算報告とは異なります。経審を受けたい建設会社から問い合わせを受けた際に「決算変更届を毎年、提出していますか?」と聞くと「決算なら税理士さんにやってもらっていますよ」という回答が返ってくることがあります。この場合「税務署への申告」を指しているのか?それとも「許可行政庁への決算変更届の提出」を指しているのか?判別できないことがあります。

「決算報告」や「決算届」といった呼び名のせいで、少しややこしく感じるかもしれませんが、

  • 税理士が税務署に提出するのは、税金の申告のため
  • 建設業許可業者が都庁や県庁(または国土交通省)に提出するのは、建設業許可業者の義務として定められているため

と区別して理解して頂くと、わかりやすいと思います。経審を受ける際に必要な「決算変更届」とは、税理士が税務署に提出する決算報告ではなく、建設業許可業者が許可行政庁に提出する届出であるというように区別をしておいてください。

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3:経審を受ける会社にとって特に重要

この「決算変更届」の提出は、許可業者に課される義務ですから、建設業許可を取得している会社は、必ず提出をしなければなりませんが、経審を受ける建設会社にとっては「必ず提出しなければならない書類」という以上に、とても重要な意味を持っています。

「決算変更届」には「建設業法用財務諸表」のほか「工事経歴書」や「直前3年の各事業年度における工事施工金額」といった書類を添付します。経審を受ける際には、これらの書類に記載した数字や金額を、経審申請書類の中に転記しなければなりません。つまり、決算変更届で作成した「売上高」や「工事実績」に間違いがあると、経審の際に提出する申請書類を正しく作成することができないというわけです。

経審の際に提出する書類を正しく作成することができなければ、経審を受けることはできません。「数字が合わない」とか「過去に提出した書類との間に金額の不一致」があると、訂正を求められるばかりでなく、最悪の場合、経審を受けることをあきらめなければならないケースも出てきます。

「決算変更届の提出」と「経審の申請」とは、手続的には別物に見えるかもしれませんが、申請書類の中身としては繋がっているので、経審を受ける会社は、特に「決算変更届」の重要性を理解しておくようにしてください。

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4:決算変更届を提出する際に必要な書類

それでは「決算変更届」を提出する際に必要な書類について、少し詳しく見ていきたいと思います。「決算変更届」を提出する際に必要な書類は、おおむね以下の通りです。

  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 建設業法用財務諸表
  • 事業報告書(株式会社のみ、任意の形式)
  • 納税証明書

まず「工事経歴書」は当該年度に施工した工事の実績を、許可業種ごとに記載する書類を言います。注文者、下請・元請、工事名、工事現場のある都道府県及び市区町村名、配置技術者氏名、請負代金、工期などを記載します。

次に「直前3年の各事業年度における工事施工金額」は、文字通り、直前3年の事業年度ごと、許可業種ごとの工事施工金額を「元請(公共)」「元請(民間)」「下請」に分けて記載します。

「建設業法用財務諸表」は、税理士が作成した税務申告用の「貸借対照表」「損益計算書」「完成工事原価報告書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」を、建設業法用に書き換えて提出します。税理士が作成した財務諸表をそのままコピーして添付しても、受け付けてもらうことはできませんのでご注意ください。

最後に「納税証明書」についてです。決算変更届を提出する際には、必ず、当該事業年度の納税証明書を添付する必要があります。

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5:必要なのは法人事業税納税証明書?法人税納税証明書?

添付する納税証明書の種類は「知事許可」の場合と「大臣許可」の場合とで異なります。知事許可業者の場合、添付する納税証明書は「法人事業税納税証明書」です。「法人事業税納税証明書」は、都税事務所・県税事務所で取得することができます。

大臣許可業者の場合、添付する納税証明書は「法人税納税証明書(その1)」です。「法人税納税証明書(その1)」は、管轄の税務署で取得することができます。

『知事許可業者が添付する「法人事業税納税証明書」は、都税事務所・県税事務所で取得する。大臣許可業者が添付する「法人税納税証明書(その1)」は、管轄の税務署で取得する。』ということを、くれぐれも混同しないように気をつけてください。会社の近くに税務署があるからといって、税務署に法人事業税納税証明書を取りに行っても、税務署では法人事業税納税証明書を発行してくれません。法人事業税納税証明書の取得は「都税事務所・県税事務所」です。

東京都内を例にとって説明すると「法人事業税納税証明書」は都税事務所ならどこでも(文京都税事務所、新宿都税事務所、豊島都税事務所・・・など)取得することができます。しかし「法人税納税証明書(その1)」は管轄の税務署でないと取得できません。例えば、新宿区内には新宿税務署と四谷税務署がありますが、四谷税務署管轄の会社が新宿税務署に取りに行っても「法人税納税証明書(その1)」を取得することはできません。

知事許可と大臣許可とで取得する納税証明書の種類に違いがあるだけでなく、各納税証明書を取得できる場所にも違いがあるので、事前に確認が必要です。

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6:決算書がなかなか上がってこないと

実務を行っていると、どうしても税理士作成の決算書が、なかなか出来上がってこない会社があります。先ほど「決算変更届」を提出する際には「税理士が作成した税務申告用の財務諸表を、建設業法用に書き換えなければならない」ということを記載しました。このように、税理士作成の決算書類がないと「決算変更届」を作成することができません。

また「1―3:経営状況分析」にも、税理士作成の決算書類が必要になります。ということは税理士作成の決算書類がなければ「決算変更届」のみならず「経営状況分析」にも進むことができません。つまり、どんなに経審を受けたくても、準備をすることはもちろん、手続きを先に進めることが全くできないわけです。

経審を受けることができなければ、入札参加資格を取得することができず、入札参加資格を取得することができなければ、入札に参加し案件を落札することもできません。入札参加資格の受付は「〇月〇日~〇月〇日まで」と期間が設けられている場合もあります。「決算変更届」の提出が1か月遅れると、入札に参加できるのが1年以上遅れるといった場合もあります。

税理士や会社の担当者にとってみれば「決算書類の完成がひと月遅れただけ」に思えるかもしれませんが、そのひと月が、入札機会の大幅な損失につながる可能性があることを、頭の片隅に入れておいてください。

なお、税理士が作成する決算書類のうち、必要なのは貸借対照表や損益計算書といった財務諸表だけではありません。経営状況分析の際には別表16が、経審の際には消費税確定申告書や、場合によっては固定資産台帳がそれぞれ必要になります。

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7:副本はなくすな!

最後に少し厳しいことを言いますが「決算変更届」をはじめ許可行政庁に提出した「申請書」「変更届」などの副本は、絶対に無くさないようにファイルで綴じて保管しておいてください。とくに経審を受ける際には「決算変更届」に記載した数字の転記が必要になるばかりでなく、過去の申請書類の副本の提示を求められる場合があります。

「建設業許可申請書の副本がありません」とか「昨年の決算変更届の副本が見つかりません」ということでは、経審に必要な申請書類の作成ができません。この時点で公共工事の入札に参加しようと意気込んでいる競合他社との差が歴然です。過去に提出した書類の副本は、順番に並べるなどして、大きめのファイルにファイリングをし、いつでも取り出せるように保管をしておいてください。

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【3】経営状況分析

決算変更届に続いて「経営状況分析」について解説します。「経営状況分析」は経審を受ける前に必ず済ませておかなければならない手続きです。

1:経営状況分析は、何のためにするの?

決算変更届と並んで、経審を受ける際に、事前に行っておかなければならないのが「経営状況分析」の申請です。経営状況分析の中身については、第2章以下で詳しく記載しますが、ここでは、経審を受けるための事前準備として、経営状況分析の申請が必要であると理解しておいてください。

経審を受けるには、経営状況分析の結果通知書に記載されているY点が必要になります。このY点は、経審の結果である総合評定値P点を算出するために必要な点数です。経審の結果であるP点を算出するためにY点が必要なわけですから、Y点を算出するための経営状況分析は、経審より先に済ませておかなければなりません。

「経営状況分析は、Y点を算出するために行い、そのY点が経審の際に必要になる。だから、経審の前に経営状況分析を行わなければならない」と理解しておきましょう。

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2:経営状況分析は、誰がやるの?

それでは経営状況分析は、誰が行うのでしょうか?都庁や県庁や国土交通省ではありません。経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関によって行われます。

登録番号 機関の名称
(一財)建設業情報管理センター
(株)マネージメント・データ・リサーチ
ワイズ公共データシステム(株)
(株)九州経営情報分析センター
(株)北海道経営情報センター
(株)ネットコア
(株)経営状況分析センター
10 経営状況分析センター西日本(株)
11 (株)NKB
22 (株)建設業経営情報分析センター

経営状況分析は、上記のどの分析機関に依頼しても問題ありません。手数料は、おおむね1万円程度ですが、手数料をはじめ「申請から分析結果通知書の発送までの期間」や「電子申請の仕方」など、分析機関ごとに異なりますので、自社に合った分析機関に申請するようにしてください。

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3:経営状況分析に必要な書類

経営状況分析は、その名の通り、建設会社の経営状況、特に財務の面での分析を行う手続きです。必要な書類は下記の通り会社の財務面に関するものになります。

  • 経営状況分析申請書
  • 建設業法用財務諸表(初めて分析を受ける際には3年度分)
  • 税務申告書のうち、別表16(1)(2)
  • 建設業許可通知書の写し

ここでも、建設業法用財務諸表の提出が必要です。先に記載した通り、建設業法用財務諸表は、税理士作成の決算書をもとに作成しますので、税理士作成の決算書が出来上がってこないと、建設業法用財務諸表を作成することができず、経営状況分析の申請も行うことができないといった関係性にあります。

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4:決算変更届の提出が先?それとも経営状況分析の申請が先?

経審を受けるには「決算変更届の提出と経営状況分析の申請を行わなければならない」といった手続きの流れは理解いただけたと思いますが、決算変更届の提出を先に行ったほうが良いのでしょうか?それとも経営状況分析の申請を先に行ったほうが良いのでしょうか?

本書では、決算変更届が「建設業許可業者である以上、すべての会社が提出しなければならない届出である」という意味において、経営状況分析より一般的な手続きであるため、決算変更届を手続きの流れの1番初めに記載しました。対して経営状況分析は、経審を受けるための前段階として「経審を受ける会社にのみ必要となる手続きである」という特殊性があるため、2番目に記載しました。

しかし、実務上は、経営状況分析を先に申請する方が良いというのが私の考えです。経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた分析機関が建設会社の財務面を分析する専門的な手続きであるため、提出した建設業法用財務諸表の修正や訂正を求められることが少なくありません。

本来は修正や訂正はないほうが良いのですが、分析機関から「修正や訂正をしてください」といった指示を受ける場合があります。

決算変更届を許可行政庁に提出する前に、分析機関から財務諸表を修正するように指摘を受けた場合には、分析機関からの指示通りに修正した建設業法用の財務諸表を許可行政庁に提出すれば足ります。しかし、許可行政庁に決算変更届を提出した後に、分析機関から修正の指示を受けた場合には、一度、許可行政庁に提出した決算変更届を訂正し、再度提出しなおさなければならなくなるため2度手間になってしまいます。

このような事情があるため、明確なルールはありませんが、経審を受ける場合には、先に分析機関への経営状況分析を行い、あとから許可行政庁へ決算変更届の提出を行うことをお勧めします。もちろん、会社の都合で、決算変更届の提出を先に行ったとしても間違いではありません。

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5:経営状況分析結果通知書の取得

経営状況分析を申請すると、約1週間程度で経営状況分析結果通知書(Y点)が届きます。経審の際には、経審の必要書類と合わせて、経営状況分析結果通知書の原本も都庁や県庁に提出することになります。

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【4】経営事項審査

「第1章 手続きの流れ」の3番目に「経営事項審査」について解説いたします。「決算変更届の提出」および「経営状況分析の申請」を経て、やっと経審の出番です。

1:公共工事の入札に参加するなら

「経審って、そもそも、ナニ?」という疑問をお持ちの方も少なくないかもしれません。建設業法27条の23第1項には「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事・・・を発注者から直接請負おうとする建設業者は・・・、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない」と規定されています。

もう少し平たく言うと、公共工事を発注者から直接請負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査、それが「経審」です。経審を受けると「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得することができます。「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」には「総合評定値P点」が記載されています。

それでは、なぜ、発注者(国や県や市区町村といった自治体)から直接工事を受注しようとする場合には、経審を受けなければならないのでしょうか?この点については拙著「建設会社の社長が読む手続きの本」で詳しく記載しましたので、以下引用します。

公立小学校を解体したり、市役所の外壁を塗装したり、公道下の水道管を取り替えたりといった公共工事は、民間工事と異なり、税金を使って行われます。税金を使って行われる以上、無駄なく・無理なく・確実に行わなければなりません。そのためには、公共工事を請負う建設会社の「技術者数」「過去の経験」「財務状況」が非常に大事になってきます。

公共工事を請負ったものの「工期が大幅に遅れたり」「途中で倒産したり」「工事が完成してみたら欠陥だらけだった」のでは、みんなが困ってしまいます。また、例えば、10億円規模の公共工事を、年間工事実績1000万円程度の会社に施工させるわけにもいきません。

そういった事態を事前に防止するため、①公共工事の入札に参加する会社には経審を受けてもらい、②経審の結果である総合評定値P点で、会社ごとの等級や順位の格付けを行い、③公共工事の発注額に応じて、入札に参加できる会社をグループ分けしているのです。

このように、公共工事への入札を希望する会社には経審を受けてもらい、総合評定値P点を算出します。そして、点数ごとに等級や順位の格付けを行い「300万円規模の工事については、P点が何点以上ある会社」「1億円規模の工事については、P点が何点以上ある会社」といったように工事の規模によって、入札に参加できる会社を振り分けています。

このような理由で、発注者(国や県や市区町村といった自治体)から直接工事を受注しようとする建設会社は、経審を受けなければならないわけです(実際の「等級や順位の格付け」には、P点(=客観点)のほかに、各自治体が独自に定めた主観点も考慮されます)。

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2:経審の手数料

経審の申請の際にかかる手数料は、以下の通りになっています。これは許可行政庁に支払う法定の手数料です。経審を受ける業種が1業種の場合が、11,000円です。その後、1業種11,000円を基本に、1業種増えるごとに2,500円の手数料が加算されます。

経審を受ける業種の数 手数料
1業種 11,000円
2業種 13,500円
3業種 16,000円
以下、1業種増えるごとに +2,500円
  • 4業種であれば、11,000(1業種)+2,500円×3業種=18,500円
  • 5業種であれば、11,000(1業種)+2,500円×4業種=21,000円

になります。

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3:経審は予約が必要?

それでは、経審は、上記の手数料を支払いさえすれば、いつでも受け付けてくれるのでしょうか?この点については、都や県によって違いがあるので、事前に確認する必要があります。東京都を例にとってみると、東京都の経審は対面審査の場合は、予約制になっています(電子申請の場合、予約は不要です)。決算変更届を提出してからでないと、予約ができない運用になっています。

決算変更届の提出が終わって、予約を入れた際に、すぐに経審を受けることができればよいのですが、予約に空きがなければ、申請が1か月以上先になってしまうことも稀ではありません。とくに3月末決算の会社の申請が集中する9月~年末にかけては、予約がいっぱいで、なかなか経審を受けることができないといったことが珍しくありません。

また、東京都の場合は、都庁が開庁している日は、毎日、経審を行っていますが、他県ではあらかじめ経審の審査日を「〇日と〇日」といったように指定している県もあるようです。そういった県では、その日を逃してしまうと、次の審査日まで待たなければなりません。

コロナ以降、申請の電子手続化が進み、経審を対面で行うのか?それとも、郵送で行うのか?それとも電子申請で行うのか?について、各自治体によってばらつきがありますので、申請方法についても事前に確認が必要です。

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4:経審はスケジュール管理が命

では「予約に空きがない」もしくは「書類の準備が間に合わない」などの理由で、経審を受けるのが遅くなった場合、どういった問題点があるのでしょうか?この点については、入札参加資格の受付期間と大いに関係があります。

仮に「A市の入札に参加したい」といった3月末決算の建設会社から、10月に経審の相談を受けたとします。よく調べた結果、A市の入札参加資格申請の受付期間が、12月1日から12月28日までだった場合。

この場合、12月28日までに、入札参加資格を申請しなければならないわけですが、入札参加資格申請を行うには経審の結果であるP点が必要なので、遅くとも12月28日までには、経審の結果通知書である「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が届いていなければなりません。

仮に、3月末決算を迎えた時点で相談を受けていれば、年間スケジュール通りに手続きを行うことによって、A市の入札参加資格の申請期限(12月1日~12月28日)に間に合わせることができます。

しかし、10月に相談を受けて、そこから経審の準備を始めた場合、「運悪く予約に空きがなかった」「予想以上に書類の準備に時間がかかった」などの理由で、手続きが遅れると、12月中に「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が届かず、12月28日の期限までに入札参加資格申請を行うことができません。こういった場合には、次回の入札参加資格申請の受付時期まで、A市の入札には参加できないことになります。

A市の入札参加資格申請の受付が、数か月後にあればよいですが、次回の入札参加資格申請の受付時期が1年後だとすると、それだけA市の入札に参加できる時期が遅れることになります。

上記の例は、あくまでもA市という架空の例ですが、入札参加資格の受付時期は自治体によって異なりますので、このようなことがないように「いつ経審を受ければよいのか?」「その経審の結果は、入札参加資格申請の受付期限まで間に合うのか?」といったことについては、十分に注意を払う必要があります。

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5:総合評定値P点の有効期間

経審を受けると「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が送られてきます。「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」に記載されている総合評定値P点には有効期があります。このP点の有効期間は、審査基準日から1年7か月です。経審を受けてから1年7か月でもなければ、結果通知書が届いてから1年7か月でもありません。

  • 審査基準日から1年7か月=〇
  • 経審を受けてから1年7か月=×
  • 結果通知書が届いてから1年7か月=×

ここでも、具体例を挙げて解説します。仮に3月末決算の会社が8月に経審を受けて、9月に結果通知書(総合評定値P点)を取得した場合、その総合評定値P点の有効期間は、翌年の10月までになります。継続して入札に参加し続けるためには、P点の有効期間を切らしてはならないため、翌年の10月末までに「その年の3月末決算を審査基準日とした経審の結果通知書」を取得していなければなりません。

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6:経審の結果は公表される!?

「経営規模等評価通知書・総合評定通知書」は、経審完了後、東京都の場合は3週間程度、関東地方整備局の場合は5~6週間程度で、会社あてに郵便で届きます。また、経審の結果は、会社に届くだけでなく、インターネット上でも広く公開されます。グーグル検索で「経審 結果公表」などと検索してみてください。「CIIC 一般財団法人建設業情報管理センター」のホームページ(http://www.ciic.or.jp/)が出てくると思います。

このホームページを利用することによって、同業や競合相手の経審の結果を見ることができます。特に、同じ地域で、同じ業種で公共工事を落札している会社がある場合、その会社の経審結果を分析することによって、今後の自社の経営方針の参考にもなりますので、ぜひ、利用してみてください。

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【5】入札参加資格申請

最大の山場である「経審」が終わった後に待ち構えている手続きが、入札参加資格申請です。中身については第2章で詳しく解説しますので、ここでは、手続き面について触れたいと思います。

1:経審を受ければ終わり・・・ではなかった!

「公共工事に入札し工事案件を受注したい」と考えている会社は、経審の結果通知書である「経営規模等評価通知書・総合評定通知書」が届いた後に、入札参加資格申請を行う必要があります。入札参加資格申請とは、その名の通り「公共工事の入札に参加する資格」を取得するための申請を言います。公共工事の入札に参加するには、経審を受けるだけでなく、各自治体の入札に参加するための資格を取得しなければなりません。

ここで注意して頂きたいのは、東京都の公共工事の入札に参加したいのであれば東京都の公共工事の入札参加資格を、神奈川県の公共工事の入札に参加したいのであれば神奈川県の公共工事の入札参加資格を、千葉県の公共工事の入札に参加したいのであれば千葉県の公共工事の入札参加資格を取得しなければならないということです。

都道府県、市区町村によって、入札参加資格申請の受付期間、申請方法、入札参加資格の有効期間、申請の際に必要となる書類は、ばらばらです。

東京都の場合は「東京都電子調達システム」を利用して申請します。資格の有効期間は最大で2年、2年度に1回定期受付を行っているほか、定期受付以外に随時受付も行っています。一方、東京都内区市町村の場合は「東京電子自治体共同運営 電子調達サービス(e-Tokyo)」を利用して申請します。資格の有効期間は、審査基準日から起算して1年8か月であるため、東京都内区市町村の入札資格を維持したければ、毎年更新申請が必要です。

このように、どんなシステムを利用して、いつ入札参加資格申請を行うのか?そのために必要な書類は何か?については、自治体ごとに異なるので、複数の自治体の入札に参加しようと考えている会社は、その自治体ごとの申請のルールを確認する必要があります。

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2:電子証明書とICカードリーダの準備

電子入札に参加するためには、電子証明書とICカードリーダが必要です。この電子証明書とICカードリーダを準備する時期についても、各自治体でバラバラですので注意が必要です。

入札参加資格を取得した後に、電子証明書とICカードリーダを準備すれば足りる場合がほとんどですが、東京都や東京都内区市町村のように、入札参加資格を申請する前に、電子証明書とICカードリーダを用意しておく必要がある場合もあります。

(1)電子証明書とは?

電子証明書は、インターネット上の身分証明書にあたるものです。会社の商号、所在地、代表取締役の名前など、会社の重要事項が格納されているICカードです。電子証明書を購入する際には、「会社の登記簿謄本」「会社の印鑑証明書」「代表者の住民票」「代表者個人の印鑑登録証明書」など、いくつかの公的な書類が必要になります。

(2)どこから購入する?

電子証明書は、上記の公的な書類を準備し、購入申込書を記載して、電子入札コアシステム対応の民間認証局から購入する必要があります。

民間認証局名 サービス名
NTTビジネスソリューションズ(株) e-ProbatioPS2
三菱電機インフォメーションネットワーク(株) DIACERT-PLUSサービス
(株)帝国データバンク TDB電子認証サービスTypeA
東北インフォメーション・システムズ(株) TOiNX電子入札対応認証サービス
日本電子認証(株) AOSignサービス
電子認証登記所 法人認証カードサービス

どの民間認証局から購入して頂いてもかまいませんが、購入の際には、電子証明書の有効期間を選択できるようになっています。価格が安いからといって電子証明書の有効期間を短くしてしまうと、いざ入札に参加する際に「電子証明書の有効期間が切れていた」といったことにもなりかねませんので、すこし長めの有効期間を選択することがお勧めです。

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3:入札参加資格を取得すると

入札参加資格を取得すると、公共工事の入札に参加できるようになります。ここで注意をしていただきたいのが、入札参加資格の有効期限についてです。入札参加資格は、毎年、もしくは2~3年に1度、更新をしなければなりません。

入札参加資格の更新を忘れると、入札資格がなくなり、入札に参加できなくなります。1つの自治体にしか入札していない会社は、入札参加資格の更新を忘れることはないと思いますが、複数の自治体の入札に参加している会社は、スケジュール管理を徹底し、〇月にはB県、〇月にはC市といったように、1度取得した入札参加資格を維持するための期限管理を行わなければなりません。

入札参加資格を途切らせないためには、資格の有効期間から逆算して、スケジュールを把握しておくのが良いでしょう。

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【6】手続きの流れを理解するうえで、重要な視点

決算変更届から入札参加資格申請まで、おおよその手続きの流れはご理解いただけましたか?第1章の最後に「手続きの流れを理解するうえで、重要な視点」と題して、初心者の方に理解しておいてほしい2点について、説明させて頂きます。

1:手続きのゴール地点から眺めてみる

ここまで、「決算変更届の提出→経営状況分析→経審→入札参加資格申請」といった時系列に沿って記載してきましたが、時系列を遡って確認してみると以下のようになります。

・公共工事の入札に参加するには、入札参加資格の取得が必要

・入札参加資格を取得するには、入札参加資格の申請が必要

・入札参加資格を申請するには、経審の結果であるP点が必要

・経審の結果であるP点を取得するには、経営状況分析(Y点)と決算変更届が必要

このように、目的(公共工事を落札する)から、遡って見ていくと、「この手続きは何のために必要で、次に何をするためにやっているのか?」が見えてくると思います。経審を初めて受ける際には、そこまでの余裕はないかもしれませんが、ぜひ、本書の購入をきっかけに、目的地から遡って、手続きを眺めてみるといった視点を養っていただければと思います。

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2:大事な案件を取りこぼすその前に

「どうしてもこの工事の入札に参加したい」とか「〇月〇日の期限までに入札参加資格を取得したい」といった場合もあるかと思います。そういった場合には、実際にそれが可能なのか?という判断を冷静に分析することはとても重要です。先に記載したスケジュールの繰り返しになりますが、とても重要なことなので、手続きの流れの最後に記載したいと思います。

公共工事の入札に参加しようと思ったら、まずは、経審を受けなければなりませんが、決算変更届と経営状況分析が終わってからでないと、経審を受けることができませんでした。経審を受ける際には、予約が必要で、1か月以上先にならないと予約に空きがないようなケースもあることは、すでに説明済みです。

仮に、運よく1か月後に経審を予約できたとしても、経審を受けてから、経審の結果通知書が届くまで、最短でも数週間はかかります。

こうしてはじめて、入札参加資格を申請できるようになるわけですが、そもそも、公共工事の入札に参加したいと思っている発注機関(県や市などの自治体)が入札参加資格の申請を受け付けているのか?を確認しなければなりません。仮に、入札参加資格の受付期間外だとしたら、次はいつになれば、入札参加資格を申請できて、申請した入札参加資格は、いつから適用になるのか?(有資格者名簿に登載されるのか?)といったところまで、考えていなければなりません。

これはあくまでも東京都内に事務所を置く私の経験値ですが、初めて経審を受ける会社の場合、ご相談・ご依頼から東京都の入札に参加できるようになるまでには、おおむね3~6か月程度の時間がかかることを想定しています。

このように見てみると「どうしてもこの工事の入札に参加したい」とか「〇月〇日の期限までに入札参加資格を取得したい」と思ってから準備するのでは、遅すぎるということが言えます。公共工事の入札にチャレンジするのであれば、具体的な案件が出てくる前に、この章で記載したような手続きを済ませておき、案件が出てきたら、すぐにでも入札に参加できるような体制をとっておくことが重要です。

例えば、下記の入札案件は、実際に公表された東京都内の区の公共工事の情報です。案件が公表されてから、たったの2週間で開札になります。つまり公表されてから「この案件の入札に参加したい」と思っても遅いわけです。

件名 公表開始日時 開札日時
〇〇公園便所改築工事 20〇〇/12/1 9:00 20〇〇/12/16 10:00

このように、経審を経て公共工事の入札を目指すには、あらかじめ、スケジュールを組んだうえで、毎年、期限までに滞りなく申請を済ませておくといった心掛けが非常に重要になってきます。

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続きは以下のリンクから

最後までお読みいただきありがとうございます。「第1章:手続編~手続きの流れの把握~」は、ここまでです。経営事項審査や入札参加資格の手続きの流れは、理解できましたか?

「第1章:手続編」と同様に「第2章:内容編」「第3章:事例編」も、以下のページに公開しています。続きをご覧になりたい方は、ぜひ、以下のリンクからお進みください。

「第2章:内容編~仕組みや重要ポイントの解説~」は、こちらをクリック

「第3章:事例編~モデルケースのご紹介~」は、こちらをクリック

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