【専門家に聞く】特定建設業許可を期限内に取得し、公共工事を受注するための成功の秘訣

「特定建設業許可がないと、公共工事の入札に参加できない」と耳にしたことはありませんか?「建設業許可の取得」と「入札参加資格の申請」は行政手続き上は、まったくの別物。そのため、「なぜ特定許可が必要なのか?」「なぜ許可がないと入札に参加できないのか?」と混乱してしまうケースが多いようです。また、特定建設業許可は大規模な工事を施工するために必須の許可であることから、その取得要件も非常に厳しいとされています。

そこで今回は、建設業許可取得や入札参加資格の申請に詳しい専門家、行政書士法人スマートサイド代表の横内賢郎先生に、「特定建設業許可と入札参加資格の関係性」や、「期限内に許可を取得し、公共工事を受注することができた事例」を、ご自身の経験を交えて解説していただきます

特定建設業許可が必要になる工事とは?


それでは、横内先生。本日は、「特定建設業許可」と「公共工事の入札」というテーマでお話しをお聞かせください。


はい。本日もよろしくお願いします。

まず、「特定建設業許可」の意味から、説明して行きます。特定建設業許可は、一般建設業許可に対比して用いられる言葉ですが、通常、「建設業許可を取得したい」というときの建設業許可は、一般建設業許可を指します。この一般建設業許可は、500万円以上の工事を請負い、施工する際に必要な建設業許可です。

一方で、特定建設業許可は、「元請の立場で」「下請に」「5000万円以上の工事を発注する」際に、必要になる許可のことを言います。建築一式工事の場合、「5000万円以上」という金額の部分を「8000万円以上」と読み替える必要があります。令和7年1月までは「4500万円以上」、建築一式工事の場合は「7000万円以上」でしたが、令和7年2月の改正に伴い「5000万円以上」建築一式工事の場合は「8000万円以上」に金額が変更になりました。

改正の経緯や改正前の金額までは覚える必要はないので、ここでは、

  • 元請の立場で
  • 下請に
  • 5000万円以上の工事を発注する場合
  • 建築一式工事の場合は8000万円以上の工事を発注する場合

に特定建設業許可が必要になるというように覚えておいてください。

特定建設業許可と公共工事の入札資格の関係性


特定建設業許可が、「元請の立場で」「下請に」「5000万円以上、建築一式工事の場合は8000万円以上の工事を発注する場合」に必要になることはわかりましたが、入札との関係性は、どうなっているのですか?


特定建設業許可と公共工事の入札参加資格との関連性ですね。

「特定建設業許可を持っていないからと言う理由で、入札参加資格を取得できない」ということはありません。その証拠に、みなさんの周りにある建設会社は、一般建設業許可でも、入札資格を持っている会社が、たくさんあるはずです。ただし、特定の案件ごとに見ていくと、「入札参加資格を持っていたとしても、特定建設業許可を持っていないとこの案件には参加することができません。」という条件が付いている場合があります。


個別の案件ごとに、一般許可でよいか、特定許可が必要かが変わってくるのですね。


はい。発注者が発注する案件の詳細を確認する必要があります。

たとえば、東京都が発注している「警視庁代々木警察署仮庁舎 新築工事」という公共工事の「入札公告兼入札説明書」を見てみると、「競争入札に参加する者に必要な資格」として「建設業法第3条の規定による特定建設業の許可を受けていること。」という条件が付いています。

このような条件が付いている場合、「東京都の建築工事の入札参加資格を持っていたとしても、一般建設業の会社はこの入札案件に参加することができず、この案件に参加するには、特定建設業許可を持っていなければならない」ということになるのです。


そうすると、こういった条件が付けられている公共工事というのは、それだけ規模が大きいということですね。


その通りです。

発注者である東京都も、工事の規模感や金額などを勘案したうえで、「特定建設業許可が必要である」というように判断しているはずです。たとえば、工事発注規模が数億円という規模なのに、これを一般建設業許可業者が落札できてしまったら、「元請の立場で、下請に、5000万円以上の工事を発注する場合には特定建設業許可が必要である」という法律上の建前と矛盾してしまうことになりかねません。そこで、発注者は、特定建設業許可を持っている会社であることを条件に入札への参加を認めているのです。

特定建設業許可を取得するための要件


特定建設業許可と公共工事の入札の関係性が、とてもよくわかりました。ところで、特定建設業許可を取得するための要件は、一般建設業許可を取得するよりも厳しいと聞いたことがあります。その点については、実際のところは、どうなんでしょうか?


はい。おっしゃる通り、特定建設業許可を取得するための要件は、一般建設業許可を取得するための要件より、厳しいです。実は、特定建設業許可については、別のサイトにも解説ページ(※注)を用意して、かなり詳細に説明しているので、興味のある人は、ぜひ、そちらもご覧頂きたいので、ここでは、簡単に説明します。

(注)「特定建設業許可を今すぐ取得したい人のための、専門家による要件・手続き徹底解説」

まず、一般建設業許可と異なる点として財産的要件があります。一般建設業許可の財産的要件は、純資産が500万円以上あれば、クリアできました。しかし、特定建設業許可を取得するための財産的要件は、

  1. 欠損比率が20%以下
  2. 流動比率が75%以上
  3. 資本金が2000万円以上
  4. 純資産が4000万円以上

という4つの条件をすべて満たしていなければなりません。

また、一般建設業許可と異なる点としては、技術者要件も挙げられます。特定建設業許可を取得するには、1級の資格者が在籍していることが必要です。1級の資格者以外の人でも、特定建設業許可を取得するための技術者要件を満たす人はいますが、かなり稀なケースなので、ここでは、1級の資格者が必要であると覚えておいてください。


特定建設業許可を取得するためには、「4つの財産的要件」と「1級の資格者の存在」が、必要なのですね。


特定建設業許可取得のための要件や手続きについては、難しく感じる人もいるかもしれません。そういった人はぜひ、時間を作って、私が書いた「専門家による要件・手続き徹底解説」をお読みいただければ幸いです。

簡単にざっくり言ってしまえば、特定建設業許可が必要になる工事は、一般建設業許可が必要な工事と比べて、「規模」も「金額」も「施工期間」も「難易度」も高い工事です。その工事を施工するのですから、会社の財産状況に問題がなく、かつ、しっかりとした技術者が在籍している会社でなければ、安心して工事を任せるわけにはいきません。そういった観点から、一般建設業許可よりも厳格な要件が求められているとお考え下さい。


それでは、公共工事を受注するにあたって、一般建設業許可を特定建設業許可に変更することはできるのですか?


はい。さきほど述べた、財産的要件と技術者要件の2つを具備していれば、一般建設業許可を特定建設業許可に変更することは可能です。一般から特定への変更が、公共工事の期限までに間に合えば、「特定建設業の許可を受けていること。」という条件の付いた公共工事の入札に参加することも可能です。

特定建設業許可取得後に公共工事を受注することができた実例


これまでに、実際に、公共工事を受注するために特定建設業許可に切り替えたケースには、どんなものがありましたか?


はい。

1つは、中野区の公共工事を継続して落札している建設会社のケースがあります。この会社は、建築一式工事の一般建設業許可を持っていましたが、より規模の大きい公共工事を受注するためには「一般建設業許可を特定建設業許可に切り替える必要がある」という社長の判断のもと、弊所にご相談に見えたお客さまです。

東京都が発注する建築工事の案件は、「億を超えるもの」も多いです。そのような規模感の公共工事を狙っていくには、一般建設業許可では難しいですね。その会社は、もともと一般建設業許可を持っていたのですが、専任技術者を2級建築施工管理技士から1級建築士に変更し、技術者要件を充足しました。また、財産的要件は、増資を行うことによって、4つの要件を充足しました。

このように、規模の大きい公共工事を狙うために、今持っている一般建設業許可を特定建設業許可に変更するという例は、少なくありません。

2つ目は、練馬区の解体工事を何年にもわたって受注している解体工事会社のケースです。この会社のケースでは、公共工事の期限に間に合わせるために決算期を10か月前倒しして、特定建設業許可を取得し、無事、公共工事を落札することができました。


決算期の前倒しですか?


はい。決算期の前倒しです。

詳細については、「特定建設業許可取得の実践解説!決算期を10か月前倒しして、工期に間に合わせた方法」というページに概要を掲載しているので、こちらを確認して頂きたいのですが、ここでも簡単に説明すると。

この会社は技術者の要件には、問題がありませんでした。しかし、直近の確定した決算では、特定建設業許可に必要な4つの財産的要件を満たしていなかったのです。そのため、通常であれば、次回の決算である翌年の3月末を待たないと、特定建設業許可を取得することができません。

しかし、それでは、公共工事の期限が過ぎてしまうため、入札に参加することができません。そこで、4つの財産的要件を満たすための増資をおこなったうえで、決算期を3月末から5月末に変更しました。決算期を5月末に変更し、「5月末決算で4つの財産的要件を満たしている」という状態にしたのです。このように、決算期を5月末に変更し、6月中に特定建設業許可取得の申請を行い、7月末の公共工事の入札期限に間に合わせることができたというケースです。


なんだかとても高度なテクニックが必要そうです。公共工事を受注するために決算期を前倒ししてまで、特定建設業許可を取得するということは、よくあるのですか?


「よくあることか?」というと、それほど頻繁にあることではないかもしれません。

しかし、私の事務所では、「公共工事」に限らず「民間の大規模工事を元請の立場で受注したいので、急いで特定建設業許可を取得したい」という相談は、結構な頻度であります。

その際に、「決算期を変更してまで、特定建設業許可を取得すると考えるのか?」それとも、「そこまで急ぐ必要はないので、しばらくは一般建設業許可のままでよいと考えるのか?」は、建設会社の社長の判断になります。


1点確認ですが、特定建設業許可を持っていたほうが、「入札資格の等級やランクの格付に有利」ということはありますか?


とてもよい質問ですね。

私が知る限りですが、東京都の公共工事の入札参加資格において、特定建設業許可を持っていたほうが、入札資格の等級やランクの格付に有利になるということはありません。等級の格付において「特定建設業許可が、加点事由になる」とか「特定建設業許可の方が優遇されるということ」は、すくなくとも東京都においては、ありません。

ただ、先ほどもお話ししたように、発注者である自治体が、個別の案件ごとに、「建設業法第3条の規定による特定建設業の許可を受けていること。」という条件を付けて、公共工事を発注することがありますので、特定建設業許可を取得していたほうが一般建設業許可のままでいるより、入札できる公共工事の幅が広がるということは言えるでしょう。


今回は、特定建設業許可と公共工事の入札参加資格について、大変勉強になりました。そろそろお時間ですので、横内先生からひとことお願いします。


本気で公共工事を狙っているのであれば、一般建設業許可のままでいるより、どこかのタイミングで特定建設業許可の取得を検討してみてもよいかもしれませんね。公共工事だけでなく、民間の大規模工事でも、特定建設業許可が必要になることはあるのですから、特定建設業許可を持っていて損はありません。

ただし、手続きには注意が必要です。どのタイミングで1級の資格者を雇用すればよいのか?どのタイミングで4つの財産的要件を満たしていればよいのか?については、専門家のアドバイスを仰いだほうが良いでしょう。とくに、工期に間に合わせるため、急いで、特定建設業許可を取得する必要があるようなケースにおいては、決算期の変更も視野に入れたうえで、税理士の先生の協力を仰ぐ必要があります。また、特定建設業許可の財産的要件のひとつに「資本金が2000万円以上」という条件がありますが、資本金を変更するには、司法書士の先生の協力が必要です。

このように、一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えるだけでも大変なのに、公共工事の工期に合わせるとなると、スピードと正確さの両方を兼ねそろえていることが必要になります。もちろん、行政書士法人スマートサイドにご相談を頂ければ、手続きの一切を対応させて頂くことも可能です。

特定建設業許可を取得することは、公共工事受注への大きな第一歩ということができます。この記事を読んで、「自分たちもチャレンジしてみたい!」と感じた方は、ぜひここで得た情報を活かし、自信を持って公共工事への道を切り拓いてください。この記事を読んでいただいた1人でも多くの人が、新たな可能性を広げていくことを心から応援しています。


本日は、ありがとうございました。


こちらこそ、ありがとうございました。

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