相談者:建設会社の総務部長
東京都の経営事項審査を受けようと思っています。手引きを確認したのですが、「どの書類が必要で、どの書類が不要なのか?」がわかりません。点数を上げるためには、さまざまな書類を提出する必要があるということを聞いたのですが、そもそも、経営事項審査を受けるには、どのような書類が必要になるのでしょうか?
また、貴事務所に依頼した際、書類の準備も含めて、お願いすることはできるのでしょうか?
回答者:行政書士
経営事項審査の際に必要になる書類についてのご質問ですね。たしかに、東京都の手引きを見ても、実際に何を用意すればよいのか?を理解するのは、とても難しいと思います。「これだけはあった方がよい」という書類がございますので、東京都の手引きを参考にしつつ、必要書類の一覧をご説明させて頂きますね。
弊所に手続きをご依頼頂いた際には、書類の準備も含めて、1つ1つ丁寧に作業をさせて頂きます。
経営事項審査を受けるために必要な書類(東京都版)
ご相談者(建設会社の総務部部長)からの質問にある通り、経営事項審査の際に必要になる書類は多岐にわたるため、「どの書類が必要か?」について、整理するのは、とても難しいです。手引きを見ると、さまざまな書類が詳細に記載されていますが、細かすぎて、すべて読み込むことができません。
そこでこのページでは、東京都の経営事項審査の手続きに精通している行政書士法人スマートサイドが、東京都の手引きを参考にしつつ、出来るだけ、わかりやすく、必要書類について、ご案内させて頂きます(※なお、経審を受けるのに最低限必要なものを、なるべくわかりやすく簡潔に記載することを一番の目標に記載していますので、より詳しく知りたいという方は、60分11,000円の有料相談をお申込みください)。
1.提出が必要な書類
以下に記載する書類は、東京都庁に提出することが必要な書類です。経審の際には、正本と副本(正本のコピー)を持参し、正本を提出し、副本は受付印を押印してもらって、持ち帰り、会社に保管して頂くことになります。(書類一覧に戻る↑)
経営事項審査確認書
東京都が独自に定めている書類です。会社名・許可番号・手数料などを記載し、申請書の表紙として用います。(書類一覧に戻る↑)
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
この書類は、経審の申請の際に、会社の基本的事項を記入します。例えば、「どの業種で経審を受けるか?」「自己資本額・利益額はいくらか?」「技術職員数は何名か?」といった項目の入力が必要になります。(書類一覧に戻る↑)
工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
その名の通り、経審を受ける業種(工事の種類)ごとに、「完成工事高」と「元請完成工事高」を記入します。その際に、完成工事高および元請完成工事高について、「2年平均を選択するのか?3年平均を選択するのか?」自社にとって、有利な方を選ぶことができます。(書類一覧に戻る↑)
その他の審査項目(社会性等)
「その他の審査項目(社会性等)」は、点数アップの宝庫とも言われています。建退協への加入の有無・退職一時金制度の導入の有無・法定外労災の加入の有無・防災協定の締結の有無のほか、営業年数やISOの登録の有無などを記載します。(書類一覧に戻る↑)
技術職員名簿
技術職員名簿には、審査基準日から遡って6か月を超える期間、常勤している技術職員を記載することができます。1人の技術職員あたり、2業種まで点数アップの評価対象にすることができます。(書類一覧に戻る↑)
経営状況分析結果通知書
経審を受けるには、先に経営状況分析を受けて、結果通知書を入手しておかなければなりません。この経営状況分析結果通知書には、経審の審査項目の1つであるY点が記載されています。(書類一覧に戻る↑)
直前3年の各事業年度における工事施工金額
この書類は、決算変更届のなかに含まれている書類です。東京都の経営事項審査を受けるには、決算変更届の中にある「直前3年の各事業年度における工事施工金額」をコピーし、他の申請書類とともに提出する必要があります。(書類一覧に戻る↑)
2.提示が必要な裏付資料
ここで説明する「2.提示が必要な裏付資料」とは、「1.提出が必要な書類」に記入した事項や記載した金額が、本当に正しいものか?嘘偽りないものか?を確認するために必要な資料です。「1.提出が必要な書類」と異なり、「提出」するのではなく「提示」するだけです。経審の審査が終わり次第、会社に持ち帰ることができます。
建設業許可通知書
現在有効な建設業許可の通知書です。建設業許可番号や許可業種を確認します。建設業許可通知書を紛失した方は、許可証明書を発行してもらうことによって、許可通知書に変えることができます。(書類一覧に戻る↑)
建設業許可申請書
現在有効な建設業許可の建設業許可申請書の副本一式です。建設業許可を取得した際もしくは建設業許可を更新した際の、副本を持参することが必要です。経管や専技といった、許可要件を満たしているか?のチェックに用いられます。(書類一覧に戻る↑)
前回の経営事項審査申請書類
ここでいう、「前回の経営事項審査申請書類」とは、前年度の経審を受けた際の「1.提出が必要な書類」のことです。前回の経審終了後に、副本に受付印が押印されているはずです。今回はじめて経審を受ける会社は、必要ありません。(書類一覧に戻る↑)
変更届出書の副本
本店所在地の変更や経営業務管理責任者の変更や専任技術者の変更などがあった場合、変更届の副本を持参しなければなりません。変更事項がない場合には、変更届の提出も必要ないので、変更届出書の副本の持参も必要ありません。(書類一覧に戻る↑)
決算変更届(決算報告)の副本
建設業許可業者が、毎事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければならない決算報告のこと。「1.提出が必要な書類」の中の「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」で「2年平均を選択した場合」は2期分、「3年平均を選択した場合」は3期分の決算変更届を持参することが必要です。(書類一覧に戻る↑)
技術職員の常勤性の資料
「1.提出が必要な書類」の中にある「技術職員名簿」に掲載した技術職員が、審査基準日から遡って6か月を超える期間、会社に常勤していることを証明する資料のこと。審査対象事業年度の標準報酬決定通知書と前審査対象事業年度の標準報酬決定通知書。経管と専技の常勤性も確認するので、技術職員はもちろんのこと、経管・専技にもきちんとした報酬が支払われていることが必要です。(書類一覧に戻る↑)
雇用保険・健康保険・厚生年金保険の確認資料
雇用保険・健康保険・厚生年金保険に加入し、審査基準日において、保険料を納入していることが確認できる資料。領収書や納入通知書もしくは、銀行口座から保険料が引き落とされていることがわかる通帳のコピーなど。(書類一覧に戻る↑)
建設業退職金共済事業加入・履行証明願
建退協に加入している場合のみ。建退協への加入は、加点事由ですので、建退協に加入していない場合には、提示は不要です。この書類は、建退協に依頼して発行してもらうことになります。(書類一覧に戻る↑)
退職金制度や企業年金制度の確認資料
退職金制度や企業年金制度を導入している場合のみ。導入していない会社の場合、提示は不要。中退共に加入している場合には、加入証明書/自社退職金制度を導入している場合には、就業規則と退職金規定/企業年金制度を導入している場合には領収書など。(書類一覧に戻る↑)
法定外労災への加入を証明する資料
法定外労災に加入している場合のみ、保険会社に発行してもらう加入証明書が必要。ただし、(ア)業務災害と通勤災害の両方を担保していること(イ)死亡および労働災害補償保険の傷害等等級第1~第7までを補償していること(ウ)直接の使用関係にある下請負人を含むすべての下請負人を対象としていること(エ)全工事を補償していること、の4つの要件を満たすことが必要です。(書類一覧に戻る↑)
防災協定を締結していることを証明する資料
国や地方公共団体と、災害時における防災活動について定めた防災協定を締結している場合のみ。防災協定書などが必要。(書類一覧に戻る↑)
消費税確定申告書(控え)
「決算変更届」や「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」に記載した完成工事高(および総売上高)が、消費税の課税標準金額を上回っていないかを確認するために必要な書類。(書類一覧に戻る↑)
消費税納税証明書その1
税務署から発行してもらう審査対象事業年度分の消費税の納税証明書その1。消費税に未納があっても、経審を受けることはできます。消費税確定申告書(控え)における「差引き税額(⑨欄)」と「地方消費税の納税額(⑳欄)」の合計が、消費税納税証明書その1に記載されている「納付すべき税額」と一致していることを確認します。(書類一覧に戻る↑)
工事請負契約書など
決算変更届で提出した工事経歴書の上位3件について、工事の実績を証明するために「工事請負契約書」「注文書・請書」「請求書・入金通帳」のいずれかを持参します。各業種、上位3件の工事実績について、証明が必要になります。(書類一覧に戻る↑)
経営事項審査の必要書類がわからなくてお困りの人へ
行政書士
東京都が公表されている手引きを参考に説明してみましたが、いかがでしたでしょうか?ポイントは、「提出が必要な書類」と「提示だけで済む書類」の2つに分けて準備することです。「提示だけで済む書類」の中には、加点事由とするために必要な書類があるので、加点を狙わないのであれば、無理に用意する必要はありません。
弊所に手続きをご依頼頂いた際には、「必要書類一覧表」を元に、手続きに必要な書類を精査させて頂きますので、ご安心ください。
経営事項審査を受ける際の、一番の苦労は、書類をどのように準備するか?という点に尽きるといっても過言ではありません。とくに経営事項審査で高い点数を取得したいという人は、戦略的に書類を準備し、加点を狙って行かなければなりません。
一方で、「とりあえず、経審を受ければいい」とお考えの人は、そこまで、緻密に書類を準備する必要はないかもしれませんね。
手引きに掲載されている書類の一覧の中には
- 必ず必要なもの
- 必ず必要とまでは言えないもの
が混在しているため、わかりづらくなっています。たとえば、「必ず必要なもの」として挙げられるのは「消費税の納税証明書」や「工事実績を証明するための工事請負契約書など」です。これらの書類が準備できないのであれば、経審の受審をあきらめざるを得ません。
一方で「退職金制度や企業年金制度の確認資料」や「防災協定を締結していることを証明する資料」は、なくても経審を受けることができます。これらは、「あれば加点される」という加点事由に該当する項目であるため、準備できなくても、問題ないのです。
このように、経営事項審査の際に必要になる書類は、経験を積んで慣れてこないと、理解するのがなかなか難しいと言えます。
御社が、経営事項審査を受けるにあたって、「書類の準備ができない」「もっと詳しくしりたい」という場合には、ぜひ、行政書士法人スマートサイドの有料相談をお申込みください。1時間11,000円にて、経審の際に準備すべき書類をより詳しく、ご説明させて頂きます。
(※なお、お電話によるお問い合わせは承っておりません。弊所へのご連絡は、下記問い合わせフォームからメールでのみ受け付けております。)