経営事項審査の工事経歴書|書き方のポイントと注意点を徹底解説

経営事項審査を受ける建設会社にとって、工事経歴書の書き方は、大変重要です。経審用の工事経歴書の書き方次第で、審査結果に大きな影響を及ぼすことはご存知でしょうか?

・工事の実績を、売上高に計上することができなかった

・申請業種ではない「その他工事」の売上にするように指導された

・書き方に間違いがあったせいで、やり直しになってしまった

・修正(別紙8の訂正)が必要と言われたけど、よく理解できなかった

というように経審用の工事経歴書の作成の仕方を理解しないまま、「なんとなく」で提出してしまうと、とても大きな課題に直面してしまいます。上記のような疑問点・問題点を放置すると、経審の結果である総合評定値P点が著しく低くなるばかりか、最悪の事態として経審の手続きをあきらめなければならない可能性もあります。

せっかく、公共工事の入札にチャレンジしようと思っていたのに、入札に不利になるばかりか、経審の手続きを終らせることができなければ、入札参加資格を取得することができません。

そこで、このページでは、東京都の経営事項審査の申請手続きの専門家である行政書士法人スマートサイドが、東京都が公表している経営事項審査の手引きを参考にしつつ、経審用の工事経歴書の書き方のポイントと注意点を徹底解説させて頂きます(なお、このページは、東京都の経営事項審査を受けたいと考えている方のために記載してます。他の県では、ルールが異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください)。

【1】工事経歴書の記載に誤りがあるとどうなる?

まず、前提として、工事経歴書の記載に誤りがあった場合、どうなるのでしょうか?「誤りがあったのなら訂正すればよい」と簡単に考えている人もいるかもしれませんが、経審の審査の場で、「工事経歴書を訂正する」というようなことでは済まないケースがほとんどです。

総合評定値P点に与える影響

仮に、建築一式工事の経審で、2億円の完成工事高として工事経歴書などの書類を作成し提出したところ、そのうちの5千万円の工事の実績を認めてもらうことができず、完工高を1億5千万円に下方修正しなければならなくなったとします。

業種 訂正前の完工高 訂正後の完工高
建築一式工事 2億円 1億5千万円

この場合、2億円だった建築一式工事の完工高が、1億5千万円に減少するのでX1評点および総合評定値P点も減少します。特に経営事項審査の結果である総合評定値P点が、10点近く減少してしまいます。この減点は、公共工事の入札にとって、非常に痛いマイナスポイントです。

業種 訂正前の完工高 訂正後の完工高
建築一式工事 2億円 1億5千万円
X1評点 790点 756点
総合評定値P点 198点 189点

手続き面に与える影響

工事経歴書の記載に誤りがあった場合、「工事経歴書」の訂正をしなければならいのはもちろんのこと、決算変更届として提出した「直前3年の各事業年度における工事施工金額」という書類の訂正をしなければなりません。また、経審の申請書である「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」も金額を訂正しなければなりません。

訂正および再提出が必要になる書類

  1. 工事経歴書
  2. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  3. 工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高

これらの書類に記入する金額は、相互に整合性がとれていなければならないため、一箇所を修正すれば済むという話ではありません。また、東京都の場合「別紙8の訂正」という書類を表紙にして、決算変更届として提出している「工事経歴書」と「直前3年の各事業年度における工事施工金額」を再度提出しなおさなければなりません。

このように、審査の際に「工事経歴書の金額を訂正すれば済む」というわけではないのです。もちろん、その場で、金額訂正を行うことができるケースもありますが、そういった場合には、総合評定値P点が下がってしまうことになりかねません。

工事経歴書の作成の仕方を間違えると、とてもややこしいことになるということがお分かりいただけましたでしょうか?

【2】経営事項審査の工事経歴書の書き方のポイント

これから経審を受けようとする人は、ぜひ、以下の経審用の正しい工事経歴書の書き方をマスターしてください。(1)⇒(2)が、書き方の手順になります。

(1)元請工事の金額が大きい方から

経営事項審査を受けない場合、工事経歴書の書き方については、それほど細かいルールはありません。経営事項審査を受けない場合は、元請・下請に関係なく金額の大きい方から10件程度、記載すれば問題ありません。

しかし、経営事項審査を受ける場合には、まず、元請工事の金額が大きい方から記載しなければならないというルールがあります。そして、この元請工事は、総元請完成工事高の7割に至るまで、記載することが必要です。

例えば、

  • 元請完成工事高  = 2億円
  • 下請完成工事高  = 3憶円
  • 総完成工事高合計 = 5億円

の会社があったとします。この会社の場合、まずは、元請工事の金額が大きい順に元請完成工事高(2億円)の7割にあたる1億4千万円に達するまで、元請工事を記載しなければなりません。

注文者 元請・下請 工事名 工事現場 請負代金
Aさま 元請 A邸改修工事 東京都新宿区 8千万円
Bさま 元請 B邸改修工事 東京都渋谷区 4千万円
Cさま 元請 C邸改修工事 東京都三鷹市 3千万円
Dさま 元請 D邸改修工事 東京都文京区 2千万円

上記の例でいうと、A~Cまでの工事で総元請完成工事高(2億円)の7割(1億4千万円)に達しています(A+B+C=合計1億5千万円)。そのため、この段階で記載するのは、A~Cまでの工事で、Dの工事を記載する必要はありません。

(2)元請・下請に関係なく金額の大きい方から

上記の(1)で、元請工事を総元請完成工事高の7割に至るまで記載した後は、元請工事・下請工事に関係なく、金額の大きい方から工事経歴書への記載を続けていきます。

注文者 元請・下請 工事名 工事現場 請負代金
Aさま 元請 A邸改修工事 東京都新宿区 8千万円
Bさま 元請 B邸改修工事 東京都渋谷区 4千万円
Cさま 元請 C邸改修工事 東京都三鷹市 3千万円
Eさま 下請 E邸改修工事 東京都豊島区 1億円
Fさま 下請 F邸改修工事 東京都港区 5千万円
Gさま 下請 G邸改修工事 東京都中野区 4千万円
Dさま 元請 D邸改修工事 東京都文京区 2千万円
Hさま 元請 H邸改修工事 東京都杉並区 1千万円

上記の例でいうと、A~Dの工事で総完成工事高(5億円)の7割(3億5千万円)に達しています(A+B+C+E+F+G+D=合計3億6千万円)。そのため、工事経歴書の記載は、Dまででよく、Hを記載する必要はありません。ポイントは、A~Cまでの工事は、元請工事ですが、この時点で元請完成工事高の7割に達しているため、それ以降の工事については、元請・下請に関係なく、金額の大きい方から順に記載している点です。

(3)よくある「まちがった」工事経歴書

経営事項審査に提出する際の工事経歴書は

  1. 元請工事の金額が大きい方から順に元請完成工事高の7割に達するまで
  2. 元請工事・下請工事に関係なく金額の大きい方から順に総完成工事高の7割に達するまで

というルールがあります。このルールを無視して、単に請負代金の金額の大きい方から順に作成すると以下のような間違った工事経歴書になってしまいます。

注文者 元請・下請 工事名 工事現場 請負代金
Eさま 下請 E邸改修工事 東京都豊島区 1億円
Aさま 元請 A邸改修工事 東京都新宿区 8千万円
Fさま 下請 F邸改修工事 東京都港区 5千万円
Bさま 元請 B邸改修工事 東京都渋谷区 4千万円
Gさま 下請 G邸改修工事 東京都中野区 4千万円
Cさま 元請 C邸改修工事 東京都三鷹市 3千万円
Dさま 元請 D邸改修工事 東京都文京区 2千万円
Hさま 元請 H邸改修工事 東京都杉並区 1千万円

経審用のルールに則って記載した工事経歴書と順番が全く異なってくることが、ご理解いただけると思います。

【3】経営事項審査の工事経歴書の注意点

1度でも経営事項審査を受けたことがある人は、わかると思いますが、経営事項審査の際には、工事経歴書だけでなく、工事経歴書に記載した工事の実績を証明するものとして、契約書類などの提示が求められています。以下東京都の手引きの該当部分を抜粋して記載します。

裏付資料:契約書

アからエまでの契約書類等(写しで結構です)は、工事経歴書に記載された工事のうち、審査対象業種ごとに記入順で上段から3件とします。

  • 契約書
  • イ 契約書がない場合は、「注文書と請書」(工事件名、工事内容、請負金額、工期、契約者名が記載されていることが必要です)
  • ウ 注文書、請書がない場合は、請求書と入金額等が確認できる預金通帳

以下省略


東京都の手引きの記載だけだとわかりづらいので補足すると…経審の際に、売上高を実際よりも高く見せるといった虚偽申請を防止するために、工事経歴書に記入した工事のうち、一番上の段から3件分は、「契約書」や「注文書・請書」や「請求書・入金記録」で工事の実績を証明しなければならないのです。

正しい理解のもとに工事経歴書を作成した場合、「契約書」や「注文書・請書」や「請求書・入金記録」で工事の実績を証明しなければならないのは、以下のA・B・Cの3件です。

(正しい工事経歴書の上位3件)

注文者 元請・下請 工事名 工事現場 請負代金
Aさま 元請 A邸改修工事 東京都新宿区 8千万円
Bさま 元請 B邸改修工事 東京都渋谷区 4千万円
Cさま 元請 C邸改修工事 東京都三鷹市 3千万円

一方で、間違った認識のもと工事経歴書を作成した場合、上段から3件は、以下のE・A・Fになります。

(間違った工事経歴書の上位3件)

注文者 元請・下請 工事名 工事現場 請負代金
Eさま 下請 E邸改修工事 東京都豊島区 1億円
Aさま 元請 A邸改修工事 東京都新宿区 8千万円
Fさま 下請 F邸改修工事 東京都港区 5千万円

用意しなければならない工事の裏付資料が全くことなることがお分かりいただけると思います。工事経歴書の作成の仕方を間違えると、工事経歴書を作成しなおすとともに、A・B・Cの工事の契約書などを準備して、再度経審を受けなければならないことになるのです(このことを再来といいます)。

【4】工事経歴書に記載した工事の実績を証明できない場合

正しいルールに則って、工事経歴書を作成したとして、もし、仮に、A・B・Cの工事のうち、どれか1つでも「契約書」や「注文書・請書」や「請求書・入金記録」で、工事の実績を証明することができなかった場合は、どうなるでしょう?

単なる勘違いや人為的なミスなど、さまざまな理由が考えられますが、具体的には、

  • 建築一式工事に該当すると思っていたものの、契約書をよく見てみたら建築一式工事には該当していなかった
  • 来期の売上に計上するべきだった工事の実績を、今期の実績として工事経歴書に記載してしまった
  • 工事経歴書に記載する際に、単純にうっかりミスで、請負金額を間違っていた

といったケースは、よくあることです。こういった場合には、その工事を申請業種の売上として計上することができなくなります。

例えば、なんらかの理由で、A工事(8千万円)の実績を裏付資料で証明することができなかったような場合。A工事を、経営事項審査の完成工事高に計上することができませんので、「その他の工事」の売上として計上されるように指示されます。当初の書類作成時の認識では

  • 元請完成工事高 = 2億円
  • 下請完成工事高 = 3憶円
  • 総完成工事高合計= 5億円

だったはずが、

  • 元請完成工事高 = 1.2億円(2億円-A工事8千万円)
  • 下請完成工事高 = 3憶円
  • 総完成工事高合計= 4.2億円

に下方修正しなければならなくなります。元請完成工事高が8千万円ダウンするとともに総完成工事高合計も4.2億円にダウンすることになります。

こうなると、否が応でも総合評定値P点への影響は避けることができません。このように、工事経歴書は、ただ作成すればよいというわけではなく、経審用のルールに則って作成するとともに、その工事を本当に施工したことを「契約書」や「注文書・請書」や「請求書・入金記録」で、証明しなければならないのです。

【5】経審用の工事経歴書の作成でお困りの人へ

経営事項審査を受けるには、経営事項審査用のルールに則った工事経歴書の作成が必要であることがお分かりいただけたと思います。工事経歴書に記載した内容をもとに、工事の実績証明が必要で、その実績証明をするために「契約書」「注文書・請書」「請求書・入金記録」の準備をしなければなりません。

工事経歴書を作成し契約書類を準備して、経審に臨んだところ、審査担当者から修正を指示された場合の「手間」や「時間のロス」を考えてみてください。修正作業がすぐ終われば良いですが、本文にも記載した通り、すくなくとも「工事経歴書」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」という3つの書類について、整合性が取れる形で、金額のすり合わせが必要になります。

こういった修正作業に時間が掛かれば、その後のスケジュールは大幅に遅延し、入札参加資格の取得が遅れることが懸念されます。また、修正がうまく行けば良いですが、うまく行かなかった場合は、総合評定値P点の大幅ダウンにもなりかねません。

経営事項審査は、工事経歴書の作成だけでなく、経営状況分析の申請(Y点)や、「建退協」「退職金制度」「法定外労災」への導入・加入によっても、点数が大きく変わってくるため、事前の対策が欠かせません。まさに、事前の準備不足が命取りになるといっても過言ではありません。

行政書士法人スマートサイドは、そんな事態を避けるためにも、ご希望者に限って、事前予約制の有料相談(1時間11,000円)を実施しています。この有料相談では、工事経歴書の作成の仕方はもちろんのこと

  • 総合評定値P点をアップするための方法
  • 事前に対策をしておいた方がよいこと
  • 東京都の入札の等級格付けや発注標準金額
  • 入札参加資格を取得するまでの手続きの流れ

など、御社の状況に合わせたきめ細かいアドバイスをさせて頂くことができます。経営事項審査で高得点を獲得し、入札で有利なポジションに立ちたいなら、事前に専門家のチェックを受け、万全の準備をしておくことが重要です。

行政書士法人スマートサイドでは、経営事項審査の申請実務に精通した複数の専門スタッフが、御社の工事経歴をチェックし、最適な手続きをご提案いたします。経営事項審査でお困りの際は、ぜひ、行政書士法人スマートサイドの事前予約制の有料相談をお申込みください。

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