【専門家に聞く】東京都の入札で「無格付(X)」になってしまう理由と具体的な対処法とは?

東京都の公共工事において、入札参加資格の等級が「無格付(X)」になると、入札に参加できる工事がほとんどなくなり、公共工事の受注機会を逃してしまうことになります。せっかく苦労して入札参加資格を取得したのに、「格付がない」という理由で入札に参加できず、悔しい思いをしている人もいるようです。

そこで、今回のインタビューでは、東京都の公共工事の入札資格の専門家である行政書士法人スマートサイドの横内先生に、「なぜ格付がXになるのか?」という原因から、「無格付を回避するにはどうしたよいか?」「どうしたら格付を上げて、多くの工事の入札に参加できるようになるのか?」という具体的な対策まで、建設会社の社長がすぐに取り入れられる方法を、わかりやすく解説します。

「無格付」とは?


それでは、横内先生。本日は、「無格付」というテーマでお願いします。


はい。本日もよろしくお願いします。

東京都の公共工事の入札参加資格における「無格付」についてですね。「無格付」は「X(エックス)」と表記されます。まずは、「無格付」の何が問題か?という点について、話を進めていきたいと思います。

東京都の公共工事の入札参加資格には、全部で109種類の業種があります。その中で、「A・B・C・D・E」という等級区分が付与されるのは、「道路舗装工事、橋りょう工事、河川工事、水道施設工事、下水道施設工事、一般土木工事、建築工事」の7つで、「A・B・C・D」という等級区分が付与されるのは、「電気工事、給排水衛生工事、空調工事」の3つです。それ以外の業種は、「A」とか「B」とかの等級は付与されず、順位のみで格付が行われます。

この「A」とか「B」とか「○○位」といった等級や順位が付与されていない状態を「無格付」と言います。


それは、わかるのですが、「無格付」になると何か問題なのですか?


はい。東京都の手引きを読むと

無格付となった場合は、①又は②の場合に限り、競争入札に参加できます。

①一件の予定価格が500万円未満の工事の請負

②一件の予定価格が30万円未満の設計、測量及び地質調査の委託、船舶の製造等の請負

と記載されています。2番目は、設計や測量についてですので、ここでは省略するとして、問題になるのは①の方ですね。


たしかに、「一件の予定価格が500万円未満」というのは、金額として少額ですし、規模も小さいと言わざるを得ないです。


おっしゃる通りです。

また、東京都の手引きの別の箇所を見ると、「無格付」となった場合には、「参加できる案件が限られる」旨の記載もあります。このように「無格付」になると、小規模のごく限られた案件にしか入札に参加できないという状態になってしまいます。実際に、東京都が発注する公共工事の案件などを見ても、無格付である「X」の会社を積極的に入札に参加させているケースは非常に少ないように見えます。

これでは、せっかく入札に参加しようとし思っても、なかなか思うような結果が得られません。公共工事の受注を見込んでいた建設会社にとっては、かなりの痛手にもなりかねないです。

なぜ、入札参加資格の等級が「無格付」になってしまうのか?


たしかに、一定程度の売上を予定していた会社からすると、「無格付」を理由に入札に参加できないのであれば、「なんのために入札参加資格を取得したか?」意味がないですね。それでは、なぜ、「無格付」という状態になってしまうのでしょう?


「無格付」になってしまう原因ですね。

東京都の公共工事の入札資格の等級格付の基準とも関連してくるのですが、等級格付の基準については、「前回の等級制度とランクアップ」「前々回の等級格付基準の核心」のインタビューでかなり詳しくお話ししているので、ここでは割愛します。

「無格付」となってしまう理由については、東京都の等級格付基準を理解したほうが良いのですが、端的にいうと「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」の入力をしていなかったことが原因です。この「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」を前回のインタビューでは「過去最高完成工事経歴」などと言って説明をしています。


「過去最高完成工事経歴」は、たしか、東京都の主観点数や主観等級の基準になるものでしたよね。


はい。よく覚えていらっしゃいますね。

東京都の公共工事の等級格付は、客観等級と主観等級を比較して、最終等級が決定されます。そのうち、客観等級は、経営事項審査の結果である総合評定値P点を基準に決定され、主観等級は、「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」の工事請負金額(税込み)を基準に決定されます。

この点について、よくわからないという人は、「前回」「前々回」のインタビュー記事を読み返してみてください。

で、客観等級の根拠となる「経営事項審査の点数である総合評定値P点」は、どんなに悪くても「無格付」にはならないのですが、主観等級の根拠となる「過去最高完成工事経歴」が未入力だと「無格付」になります。


なぜ、「過去最高完成工事経歴」が未入力だと「無格付」になって、入札に参加する機会が著しく少なくなってしまうのですか?


よい、質問ですね。

「過去最高完成工事経歴」を簡単に説明すると、「過去6年の間に、東京都近郊で完成した、申請業種に関する工事の実績のうち、請負金額が一番高いもの」のことを言います。この「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」つまり「過去最高完成工事経歴」が未入力であるということは、過去6年間の間に、東京都近郊で、申請した業種に関して工事を施工していないということと同じです。

つまり、東京都側からすると、その業者の申請業種に関する過去の実績を把握することができないため、評価のしようがないんです。そのため、経営事項審査の点数や、客観等級に関係なく、「過去最高完成工事経歴」が未入力である会社に関しては、一律、「無格付」として、「一件の予定価格が500万円未満の工事の入札にのみ参加することができる」という制限を設けているのです。


そうすると、東京都の公共工事の入札参加資格が「無格付(X)」となった原因は、入札参加資格を申請する際の「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」が未入力だったという点に尽きるということですか?


はい。そのように言い切ってしまって構いません。

今の質問にあったように、東京都の入札参加資格の申請は、「東京都電子調達システム」というシステムにログインして、いろいろな項目を入力して、電子申請を行います。その入力項目の中には、申請業種ごと売上高や施工件数とともに「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」の入力箇所もあります。

いま、このインタビュー記事を読みながら、「自分の会社がなぜ無格付になったのか?」検討もつかないという人もいらっしゃるかもしれませんが、無格付となった原因は、『入札参加資格を申請する際に「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」が未入力だったから』ということが言えます。

東京都の入札資格が「無格付」となってしまった場合の対処法


ところで、この「無格付」という状態を解消することはできないのでしょうか?実際に、過去の実績がないから「無格付」になってしまったのなら仕方ないですが、ただの入力漏れというケースもありますよね?


はい。おっしゃる通り2つのパターンが考えられますね。

1つは、「過去最高完成工事経歴」つまり「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」が、本当にない場合。例えば、「電気工事の実績しかないので、電気工事の入札に参加できればよいのだけど、せっかくだから空調設備工事の入札資格も取得しておこう」というパターン。こういった場合、空調設備工事の実績はないものの、「入札に参加できなくても良いので、せっかくだから、空調設備工事の入札資格だけ持っている」というケースですので、無格付のままで仕方ありません。過去の実績がない以上、無格付を解消する手段はありません。

一方で、問題なのは、次のパターンです。

「過去最高完成工事経歴」つまり「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」はあるのに、入力ミス・確認ミス・勘違いで、未入力のまま申請した場合。先ほどの例で言うと、電気工事と空調設備工事の両方の実績のある会社が、電気工事の「過去最高完成工事経歴」は入力したものの、空調設備工事の「過去最高完成工事経歴」の入力を失念してしまっていたようなケースです。

このケースでは、実際には、空調設備工事の「過去最高完成工事経歴」があるにも関わらず、申請ミスで「無格付」となってしまったので、「無格付」のまま、空調設備工事の入札に参加することができないというのは、とても、大きな損失です。そのため、再審査申請を行うことによって、「A」「B」「C」という等級を付与してもらうことができるようになっています。


再審査申請ですか?


いま話した2つの違いは、わかりますよね。

1つ目は、実際に過去の実績がなかったケース。このケースでは、「無格付」は覆りません。一方で、2つ目は、実際には過去の実績があったケース。このケースでは、「再審査申請」を行うことにより、「無格付」から「A・B・C」という格付ありに変更することができるのです。


なるほど、万が一、入力ミスによって「無格付」となってしまった場合には、再審査申請を行えばよいのですね。


はい。本当であれば、「入力ミス」や「入力を忘れること」は、無い方がよいのですが、弊所でも、実際に、再審査申請を依頼されるケースは、何回もあります。

以前、「自社の入札担当が東京都に申請をしたところ、申請した業種で無格付になってしまった」という建設会社がいらっしゃいました。残念ながら、手引きをあまり読まずに、なんとなくで申請してしまっていたようです。いざ、入札に参加しようと思ったら、ほとんどの業種で入札に参加することができないことがわかり、慌てて、弊所にご相談に見えたという次第です。

このお客さまの場合、社長が公共工事の入札に「積極的で前のめり」だったこともあり、「無格付」にしてしまった担当者さんは、相当、困惑しておりました。弊所にご依頼をいただき、再審査申請を経ることによって、無事、「C」や「D」の等級に格付されたのを、よく覚えています。


「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」が未入力でも、申請は通ってしまうということですね。後になってから気づくということでしょうか?


はい。そうです。

「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」への入力が未入力であったとしても、入札参加資格申請は、受付され承認されます。未入力だからといって、「受付不可」となるわけでもなければ、「補正の対象」になるわけでもありません。「順位格付審査に用いる最高完成工事経歴」への未入力は、ただ単に「過去の実績がなかった」として扱われるだけですので、申請時点では、気づきづらいかもしれません。


東京都の公共工事の入札参加資格が「無格付(X)」になってしまう理由と具体的な対処法が、大変よくわかりました。そろそろお時間ですので、横内先生から何か一言あれば、お願いします。


「無格付」とか「X」とかの表記を見ると、一瞬、焦ってしまうこともあるかと思います。ましてや、「いざ入札に挑戦だ」と意気込んで、入札参加資格を取得したものの、「無格付」を理由に、お目当ての案件の入札に参加することができなくなってしまったら落胆することでしょう。きっと、そんな思いで、このインタビュー記事を読んでいただいているひともいるかもしれませんね。

東京都の公共工事の場合は、「再審査申請」という手段が残されていますので、「無格付」を「格付けあり」に変更したいという人は、再審査申請を試みてみるとよいでしょう。もちろん、行政書士法人スマートサイドにご依頼いただければ、御社に代わって、再審査申請をさせていただくことも可能です。


大変、勉強になりました。それでは、本日もありがとうございました。


こちらこそ、ありがとうございました。

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