東京都の公共工事に参入したい建設会社にとって、入札参加資格の申請は避けて通れない手続きです。東京都の場合、「東京都電子調達システム」というサイトから電子申請することが必須となっています。入札参加資格の申請というと、「大量の書類を都庁に持参して審査を受ける」というイメージをお持ちの建設会社の社長も多いと思いますが、意外にも、インターネットを通じた電子申請で完了してしまうのです。
ただし、「電子申請だから簡単か?」というと、そうでもなく、「電子証明書の取得」や「パソコンの環境設定」という事前準備が必要なほか、「操作マニュアル・申請の手引き」など、さまざまな資料に目を通さなければならず、「書類よりかえって面倒だ…」という声をよく聞きます。
そこで、今回は、そんな面倒な手続きを、入札参加資格申請の「プロ行政書士」に依頼するべき理由を、行政書士法人スマートサイドの横内先生にお伺いしたいと思います。
東京都の公共工事の入札参加資格を取得する手続きの流れ
それでは、横内先生。本日も、よろしくお願いします。
はい。こちらこそ、よろしくお願いします。
本日のテーマは、「東京都の公共工事の入札参加資格申請を行政書士に依頼するメリット」ということでよろしかったですね。早速、はじめて行きたいと思います。まず、前提として、東京都の公共工事の入札参加資格を取得するための手続きの流れを簡単にお話しさせて頂きます。
建設会社の社長の中には、「公共工事の入札に参加したいと思ったら、公共工事の入札参加資格の申請手続きを行えばよい」とだけ思っている人も多いと思うのですが、実は、そうではないんです。公共工事の入札参加資格の申請を行うまえに、さまざまな手続きを経なければなりません。
まずは、事業年度終了後4か月以内に届出が必要な「決算報告」です。これは、毎年、毎年、許可行政庁に提出する「決算変更届」のことです。続いて、経営事項審査という審査を受ける必要があります。この経営事項審査は、官公庁から直接工事を受注する際に必要な手続きです。入札に参加したいのであれば、毎年、経営事項審査を受けなければなりません。経営事項審査を受け終わると「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が送られてきます。これは経営事項審査の結果通知書のことですが、この結果通知書に総合評定値P点という点数が記載されています。
まずは、以上の手続きが済んでいることが前提となります。
入札参加資格を取得するためには、多くの事前準備が必要になってくるのですね。これだと3か月~半年くらいかかるイメージですか?
おっしゃる通りです。
建設会社の社長と話していると、「来月から公共工事に参入したい」というようなことをおっしゃる社長もいらっしゃいますが、「決算変更届の提出」や「経営事項審査の結果通知書を受領」してからでないと、公共工事の入札参加資格を申請することができないという点を、わかっていないのだと思います。そもそも、ここまでの手続きを「建設会社が、独自で実行できるか?」というと、なかなか厳しいような気がします。「過去に何度も手続きを行っている会社」や「長年、公共工事を落札し続けているような会社」は、自社で、できるかもしれませんが、これから初めて公共工事にチャレンジしようとする会社は、自分ひとりの力では、まず、無理でしょう。
話しを続けますね。
以上の手続きが完了した後、東京都の入札参加資格の申請を行うのですが、東京都の場合は「東京都電子調達システム」というシステムを利用した電子申請になっています。この電子申請というものが曲者で、電子申請を行うには、以下の手続きが必要になってきます。
- 電子証明書の購入申込+受取代行
- PIN番号の受取
- 電子証明書の受領データの送信
- 電子証明書+ICカードリーダを利用するための各種ソフトのインストール
- 東京都電子調達システムを利用するためのパソコンの環境設定
- 東京都電子調達システムへの電子証明書の登録
ちょっと待ってください。経営事項審査を受けて、「総合評定値P点が記載された結果通知書」を受領したら、すぐに電子申請できるのではないのですか?
とてもよいご指摘です。
多くの建設会社の社長は、いまの質問のように、「経営事項審査が終わったら、すぐにでも入札に参加できる」というように思いがちです。この点については、大きな勘違いですので、意識合わせが必要です。私の事務所でも事前打ち合わせの際には、スケジュールについて多くの時間を割いて、ご説明をさせて頂いていますが、入札参加資格を申請するためには、経営事項審査が完了した後に、最低でも、いま述べたような6つの作業が必要になってくるのです。
このあたりで、「東京都の公共工事に挑戦したい会社が入札資格申請をプロに依頼すべき理由」がわかってきましたか?
はい。どう考えても、初めて公共工事にチャレンジする会社が、これらの作業をスムーズにかつ的確にできるとは思えません。
そうですね。私も同感です。
しかも、先ほどの6つの作業というのは、電子調達システムの利用環境を事前に整えるための作業にすぎません。その6つの作業が終わったあとに、やっと、入札参加資格の電子申請を行えるようになるのです。入札参加資格の申請は、間違いのないように入力しなければなりません。「売上高」や「納税状況」や「過去の工事の実績」や「チェックリスト」など、さまざまな事項の入力が必要になります。
これらの事項の入力については、東京都が発行している手引きを参考にしながら、1つ1つ丁寧に見ていくしか方法がありません。すべての入力を終えて、入力事項を電子送信して、承認されて、はじめて東京都の公共工事の入札参加資格を持つことができるのです。
「途方もない道のり」に思えてきました。
はい。さきほどもお話ししたように、こういった手続きに関して知識ゼロの人が、まったくの自力で、完了させることは、おそらく不可能ではないか?というのが私の感想です。仮に、社長や役員ではなく「総務部」が手続きをすることになったとしても、「総務部」には「総務部」の仕事があるわけです。それに加えて、毎年の経営事項審査の申請や、2年に1度の入札参加資格の申請なんて、「とてもではないけど、こなしていくことはできない!」「業務量がひっ迫してしまう!」と感じる人は、多いと思います。
「総務部」が担当するにせよ、「営業部」が担当するにせよ、「事務員」が担当するにせよ、かなりの業務量の増加が見込まれますので、「手続き業務を安易に自社で内製化しよう」とは考えない方が良いでしょうね。
入札参加資格申請をプロ行政書士に依頼するメリット
東京都の公共工事の入札参加資格の申請を自社で内製化することが、得策ではないことはよくわかりました。実際問題として内製化は不可能でしょうから。では、こういった手続きを横内先生のようなプロ行政書士に依頼するメリットはあるのですか?
はい。プロに依頼するメリットですね。
まず、電子証明書の購入申込や受取代行は、行政書士を代理人に選定して頂ければ、建設会社に代わって行政書士が手続きを代行することができるようになっています。この点について、社長の負担は、とても減ると思います。電子証明書の申込みを行うと、電子証明書の名義人である社長の住民票上の住所に本人限定受取郵便が届きます。その本人限定受取郵便と身分証明書を持って、本人である社長が郵便局まで受け取りに行かなければならないというルールになっています。
この場合、行政書士を受け取り代理人に選定することによって、わざわざ社長が郵便局まで赴く必要はなくなり、社長本人に代わって、行政書士が電子証明書を受け取ることができます。これを知らないと、電子証明書の発行申込書の作成から、申込、受取、といった一連の行為を社長本人が行うことになりかねません。
なるほど、電子証明書の発行申込や受取は、行政書士の先生が、社長に代わっておこなうことができるのですね。
電子証明書の発行申込や受取だけではありません。
電子証明書を受け取った後は、「電子証明書とICカードリーダを利用するための各種ソフトのインストール」や「東京都電子調達システムを利用するためのパソコンの環境設定」が必要になります。世の中の電子化の流れに逆らう気は、毛頭ありませんが、電子化のデメリットとして挙げられるのが、「PC設定の仕方がよくわからない」ということが挙げられると思います。パソコンの設定や操作に慣れている人は良いですが、不得意な人も多い印象です。
とくに、「電子証明書とICカードリーダを利用するための各種ソフトのインストール」と「東京都電子調達システムを利用するためのパソコンの環境設定」は、別々の手続きになります。そのため、「電子証明書の発行元が用意したマニュアルを見ればよいのか?東京都のホームページ上にあるマニュアルをダウンロードすればよいのか?」どっちが、どっちだかわからず、初歩の初歩でつまずいてしまうことが多いです。
この点についても、日常的に建設会社の公共工事の入札参加資格をサポートしている行政書士であれば、手際よく済ませることができます。私たちの事務所も東京都内であれば、実際にお客さまのもとを訪問して、パソコンの環境設定を行っています。私たちでさえ、どんなに手際よくやっても、およそ1時間くらいはかかります。パソコン設定に不慣れな人がやろうとすると、半日かかっても終わらないのではないでしょうか?
実際に会社に来てもらって、パソコンの設定をしてくれるのは、非常に便利ですね。それ以外に行政書士に依頼するメリットはありますか?
はい。
電子証明書の受領やパソコンの環境設定が、無事に終われば、入札参加資格の申請です。ここまで長い道のりでしたが、やっと、本題の入札参加資格の申請を行うことができるようになるのです。ご存知ない方がほとんどだと思うので、1つ資料を用意しました。東京都電子調達システムの中には、「行政書士への委任登録」というボタンがデフォルトで設定されています。下記資料をご覧ください。
たしかに、「行政書士への委任登録」というボタンが見えます。
行政書士への委任の仕方は、操作マニュアルに詳しく書いてあるので、ここでは割愛しますが、東京都電子調達システムは、行政書士へ手続きを依頼することを前提に作られているのです。
もし、みなさんの会社が自力で入札参加資格を申請する場合、東京都が発行している100ページにもおよぶ「東京都 建設工事等競争入札参加資格審査申請の手引」を参考にしつつ、1つ1つ入力項目に数字や文字を入力していかなければならないのです。しかし、行政書士へ委任することによって、お客さまは、これらの入力作業をする必要がなくなります。しかも、これらの入力作業は、代理人である行政書士の事務所のパソコンから入力し。申請作業を完了させることができるので、「お客さまのパソコンをお借りする」とか、「一時的にお預かりする」ということはないんです。
行政書士に委任さえしてしまえば、お客さまにとっては、ストレスフリーで作業を完了させることができるのです。
申請ミスの本当の恐怖|手続きが終わったのに入札できない?
なるほどですね。これは、行政書士の先生に依頼した方が、断然、よさそうですね。
すこし、話がずれますが、お客さま自身が自分で手続きをやるうえで、一番怖いことは、手続きがうまく行かないことではないんです。実は、申請手続き自体は、うまく行ったように思えても、「中身が間違っていた」ということが一番怖いのです。
いままで手続きの話をしてきましたが、ここからは中身の話です。
東京都の入札参加資格を申請すると、「A」「B」「C」「D」「E」という等級や順位が付与されます。例えば、建築工事は「C」ランク、空調設備工事は「B」ランクというように。このランクは、御社がどのくらいの規模感の公共工事の入札に参加できるかのグループわけに用いられます。例えば、「A」ランクであれば規模の大きい公共工事に参加することができる可能性があるのに対して、「E」ランクだと規模の小さい工事にしか参加することができないというイメージです。
このランクや順位は、入札参加資格を申請した際の工事実績の入力によって決まります。私たちのようなプロ行政書士であれば、「どこに注意すべきか?」「絶対に間違ってはいけないところはどこか?」「これを間違ったら大変なことになる」ということを事前に把握しているので、注意のしようがあるのですが、はじめてやる人は、この点の理解ができていないことが多い。
そのため、手続き自体は、無事、完了したものの、結果を見てみたら、「思いもよらないランクに格付けされていた」とか、「全然入札に参加することができない」という状況になりかねないのです。そういった意味で、「手続きに時間がかかる」ということよりも、「手続きは無事終わったのに、間違った申請の仕方をしていたため、まったく入札に参加することができなかった」ということが一番怖いのです。
私は、いままで、そういった建設会社をたくさん見てきました。なので、「入札参加資格の申請手続きを滞りなく終わらせること」と、「希望通りの等級を取得して、入札に参加することができるかどうか」は、まったくの別物であると考えて頂いた方がよいように思います。
なるほど。手続きが完了しても、入札に参加できないようじゃ、苦労して申請した意味がないですね。入札参加資格申請にはそういった怖さもあるのですね。よくわかりました。それでは、お時間になりましたので、横内先生の方からひと言お願いします。
先ほどの話の続きになりますが、建設会社の中には、「自社でやって失敗した」という人が多くいます。東京都の公共工事の入札参加資格申請は、パソコンの環境設定などの作業が煩雑なだけではありません。申請の中身を十分に理解していないと、「入札参加資格は取得できたけど、入札にはまったく参加できなかった」というような事態があることを、肝に銘じておいてください。
行政書士に依頼することで、時間と労力の節約になるばかりか、安心かつ確実に入札参加資格を取得することができます。さらに、専門特化した行政書士事務所であれば、等級アップのアドバイスや経審の結果である総合評定値P点を上げるための対策も施してくれるでしょう。将来的に、有利な条件で入札に参加することが可能になります。
最後になりましたが、東京都の公共工事に挑戦したい会社は、ぜひ、行政書士事務所への外注や手続きの依頼をご検討いただければと思います。長い時間、ありがとうございました。