【専門家に聞く】はじめて経営事項審査を受ける際に注意したいこと

はじめての挑戦には、不安がつきまといます。

特に建設会社が、はじめて経営事項審査に取り組む場合。「手続きが複雑で、申請を間違えないか」「必要な書類を漏れなく集めることができるか」「自分の会社の経営状況が適切に評価されるか」「そもそも何から手を付ければよいのか」など、多くの心配事が浮かぶことでしょう。公共工事を落札している建設会社の社長でさえ、手続きの細かい部分については把握できていないのですから、これから初めて経審に挑戦しようとするみなさんが、不慣れなのは仕方のないことです。

とはいえ、その不安を抱えたままでは先に進むことができません。こうした不安を取り除くためには、審査の全体像を明確に把握するとともに、信頼できる専門家に話を聞いてみるのが一番の打開策です。そこで、本日は、「はじめて経営事項審査を受ける際に注意すること」をテーマに、経営事項審査の専門家である行政書士法人スマートサイドの横内先生にインタビューを実施します。

経営事項審査の手続きの全体像


それでは、横内先生、お願いいたします。


はい。よろしくお願いいします。

本日のテーマは「はじめて経営事項審査を受ける際に注意すること」ですね。はじめて経営事項審査を受けようとしている建設会社を対象にしていると思いますので、まずは、手続きの全体像を簡単に説明させて頂きます。

まず、一番初めにやらなければならないのは、許可行政庁に対する「決算報告」の提出です。この「決算報告」のことを、弊所では「決算変更届」と呼んでいます。この「決算報告」つまり「決算変更届」は、建設業許可業者であれば、毎年、事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければなりません。税理士さんが、税務署に対して行う「決算報告」「税務の申告」とは異なるものですので、必ず、許可行政庁に決算変更届の提出を行うようにしてください。


決算というと税理士さんの仕事というイメージがあるのですが、建設業許可業者は、毎年、許可行政庁に決算変更届を提出しなければならないのですね。


おっしゃる通りです。これは、建設業法11条2項によって定められている許可業者の義務です。みなさんの周りにも建設業許可を持っている会社はたくさんあると思うので、毎年、都庁ないしは県庁に決算の届出を出しているか否か聞いてみてください。

続いて、経営事項審査を受ける前に必要なのが、民間分析機関への「経営状況分析」という申請です。この「経営状況分析」とは、経営事項審査を受ける際に必要な「経営状況分析結果通知書」を発行してもらうための手続きのことです。「経営状況分析結果通知書」にはY点という点数が記載されています。「経営状況分析」では、財務諸表や税務申告書を民間の分析機関に提出します。


「決算変更届の提出」「経営状況分析の申請」が終わってから、「経営事項審査」という流れになるのでしょうか?


はい。その通りです。

すこし大雑把な説明になってしまいましたが、全体の流れとしては、「決算変更届を許可行政庁に提出し」「経営状況分析を申請して結果通知書を受領して」「経営事項審査に臨む」というのが大体の流れになっています。はじめて経営事項審査を受ける会社は、この流れの把握が何よりも大事になってきます。

はじめて経営事項審査を受ける際に注意したいこと


ありがとうございます。それでは、はじめて経営事項審査を受ける際に、具体的にどんな点に注意した方がよいのでしょうか?


そうですね。本日のインタビューの本題ですね。

まず、絶対に間違えて欲しくないのが、申請書類を「税抜きで作成する」という点です。経営事項審査の際に提出する書類の中には、「工事種類ごとの完成工事高」や「工事種類ごとの元請完成工事高」を記入する書類があります。また、この他にも、決算変更届で提出する「工事の実績」を記載した書類、財務諸表、「過去3年間の各事業年度における工事施工金額」など、すべて、税抜きで記載する必要があります。

こういった書類を「税込み」で作成してしまうと、「決算変更届の提出」「経営状況分析の申請」を1からやり直さなければならないことになります。くれぐれも、経営事項審査を受ける際には、申請書類を税抜きで作成するように注意してください。


まずは、書類を「税抜き金額」で作成するということですね。理解しました。


続いて、大事なのが、工事経歴書の書き方です。

あまりご存知ない方も多いのですが、経営事項審査を受ける場合と受けない場合とでは、工事経歴書の書き方が違います。経営事項審査を受けない場合は、金額の大きい方から10件程度の工事実績を記載すればよかっただけですが、経営事項審査を受ける場合には、経営事項審査用の特殊なルールに則って、工事経歴書を作成しなければなりません。

具体的には、元請工事から金額の大きい順に記載します。記載した元請工事の合計金額が、元請工事の総額の7割を超えるところまで、元請工事の実績を記載します。記載した元請工事の合計金額が、元請工事の総額の7割を越えたら、続いて、元請工事・下請工事に関係なく、金額の大きい方から順に、総完成工事高の7割を超えるまで順に記載していくのです。


なんだか、とてもわかりにくいルールですね。


はい。正直言って、口頭で説明するのがちょっと難しいといった感じです。

ですが、「まず先に、元請工事の7割。続いて、元下関係なく全体の7割。」といったような合言葉で覚えておくと、よいかもしれません。実際に工事経歴書を作成する場合には、行政庁が発行している手引きを確認しながら作成して欲しいのですが、経審の際には特殊なルールに基づいて工事経歴書を作成する必要があって、7割という数字がポイントになるということを、事前に頭の中に入れておくとよいでしょう。


「元請7割。元下関係なく7割。」ですね。何となくわかりました。ところで、なぜ、こんなに煩雑な書き方をしないといけないのでしょうか?


明確な理由は定かではありませんが、虚偽申請を防止するためだと思っています。

経営事項審査は、公共工事の入札に参加する会社が受けなければならない手続きで、経営事項審査の結果の点数が、入札資格の等級の格付に大きな影響を与えます。そのため、虚偽や嘘があってはなりません。上記のような工事経歴書のルールを求めることによって、一定の割合で、虚偽申請を防止するのに役立っていると考えられます。

そして、このことと関連して、はじめて経審を受ける際に注意して欲しいのが、工事経歴書の上位3件の工事実績については「契約書」「注文書・請書」「請求書・入金記録」が必要になるという点です。これも、経営事項審査の特徴として覚えておいて欲しいところです。経営事項審査を受けない場合、つまり、公共工事の入札を行わない場合、許可行政庁に工事の実績としての資料を提示することはありません。一方で、経営事項審査を受ける場合、経営事項審査のルールに則って記載した工事経歴書の上位3件の工事については、裏付資料の提示が必要になるのです。

これも、虚偽申請防止という観点や、入札の公平性を担保するという観点から、求められていることですので、はじめて経審を受ける際には注意が必要です。工事経歴書に間違った工事の情報を記載していると、経営事項審査の場で、「工事経歴書の記載」と「契約書の記載」に齟齬があることが発覚して、工事経歴書の訂正を求められるということがよくあります。経審を受けるのであれば、工事経歴書の記載は、工事請負契約書や注文書の表記を正しく転記するようにしなければなりません。


なるほど、「本当に工事を施工していた」という実績を証明するために、工事請負契約書などを提示する必要があるということですね。ところで、経審の際には、技術職員の人数が多い方が点数が高くなると聞いたことがあります。この点について、何か注意点はないですか?


技術職員に関してですね。

技術職員に関しては、合格証や免許証の提示を求められます。ご存知の人も多いと思いますが、2級の資格より1級の資格の方が、点数が高いです。どんなに口頭で、「1級の資格を持っています」と言ったところで、それを合格証で証明できなければ、加点事由にならないのは当然です。経審は、口頭審査ではなく書面審査ですので、すべて、書面による提示が必要になります。

ですので、はじめて経審を受ける際には、自分の会社の技術職員の合格証や資格証を、すべてコピーして、誰が何の資格を持っているのかをエクセルの一覧にして管理しておくとよいと思います。技術職員が数名の会社であれば、それほど問題にならないかもしれませんが、10名を超える場合や、技術職員の入れ替わりが激しい会社は、とくに、保有資格を最新の状態に管理するとよいでしょう。

また、経審の際には、決算日時点の技術職員の常勤性を証明するとともに、決算日から遡って6か月を超える期間、在籍していることの証明も必要になります。技術職員の「決算日時点での常勤性」および「決算日から遡って6か月を超える期間、在籍していることの証明」は「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」で行うのが一般的です。

経営事項審査を受ける際には、去年分と今年分の2年分の「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」を事前に用意しておくと、準備がスムーズに進むと思います。


はじめて経営事項審査を受ける会社が注意しておいた方が良いことは、他に何かありますか?


はい。いままで話してきたことの他にあるとすれば、スケジュール管理です。

公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査を毎年受けなければなりません。1回だけ受ければOKとか、2年に一度受ければ良いというものではありません。なぜなら、経営事項審査の結果である総合評定値P点の有効期間は、1年7か月しかないからです。この1年7か月というのは、「経営事項審査を受けてから1年7か月」でもなければ、「経営事項審査の結果通知書が届いてから1年7か月」でもありません。「経営事項審査の審査対象日となる決算日の翌日から起算して1年7か月」です。

より具体的に説明すると、「3月末決算の会社の場合、翌年の10月末まで。」「9月末決算の会社の場合、翌々年の4月末まで。」となります。その時までに、次年度の決算日で新たに経営事項審査を受けなおして、結果通知書を取得しておかなければなりません。

まだ1回も経営事項審査を受けたことがない人に対して、次回以降の経審のスケジュールを説明することに無理があるかもしれませんが、公共工事の入札に参加するには、毎年、決まった時期までに、経営事項審査を受けなければならないというように覚えておいて頂ければと思います。

経営事項審査の手続きを外部の専門家に依頼するメリット


横内先生、ありがとうございます。横内先生のような専門家の話を聞けて、経審に対する不安もだいぶ和らいできたように感じます。このインタビューの最後に、何かお伝えしておきたいことはありますか?


そうですね、これから初めて経営事項審査を受ける人達にお伝えしたいこと….

経営事項審査を受ける際には、しっかり行政庁が発行している手引きを読み込むことです。もし、それができないようであれば、手続きを専門家に外注することです。

これから経営事項審査を初めて受けるみなさんは、まだ、経審の点数を上げるためのテクニックや、絶対に間違えてはいけないポイントをわかっていません。もちろん、このインタビューでは時間の許す限りお話しをしてきましたが、これがすべてではありません。たとえば、「完成工事高の2年平均・3年平均の話」や、「社会性の審査項目が総合評定値P点に与える影響の大きさ」、それから、「経営事項審査を受け終わったあとの入札参加資格申請の手続き」など、覚えなければならないことがたくさんあります。

みなさん自身のちからで、完璧な状態に持っていければ、それが一番かもしれません。しかし、そういった状態に持っていくには、おそらく、何年もかかるでしょう。実際にやってみるとわかると思いますが、経審の申請は、とても難しいです。

みなさんの目標が1日でも早く公共工事を落札することにあるのであれば、外部の専門家に手続きのサポートを頼っても良いのかもしれません。むしろ、公共工事の効率的かつ継続的な受注活動を目指すのであれば、手続きの専門家の力を借りない手はありません。万が一、自分でやってみて「うまく行かないな?」「限界かな?」と感じた際には、どうか一人で悩まないで、専門家に相談してみることをお勧めいたします。きっと、みなさんの不安を解消し、目標への近道を示してくれることでしょう。


専門家の力を借りることが、公共工事の入札の近道になりそうですね。それでは、お時間になりました。本日もありがとうございました。


こちらこそ、ありがとうございました。このインタビューが初めて経営事項審査を受ける建設会社にとって、勇気と希望を与えるきっかけになってくれたら幸いです。

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