【専門家に聞く】あなたの会社が経営事項審査で失敗しないためのチェックポイント

経営事項審査を受ける会社であれば、誰しもが「経営事項審査で失敗したくない…」と考えるのは当然のことでしょう。むしろ「失敗しても構わない」という人などいないはずです。経営事項審査の結果が、入札参加資格の等級格付に影響するのですから当然です。にもかかわらず、多くの人から、「思ったのと違った…」「点数が伸びない…」「こんなに苦労するとは思わなかった…」という声を聴きます。このギャップは一体どこから生まれるのでしょうか?

一言で、「経営事項審査が難しいから」とか「手続きに関する知識が乏しいから」という理由で片づけてしまってよいのでしょうか?この点について、長年、東京都の経営事項審査の申請手続きを専門にしている横内先生にお話を伺いました。あなたの会社が経営事項審査で失敗しないための事前チェックのポイントを教えて頂きます。

経営事項審査が「うまく行かない」2つの理由


それでは、横内先生。今回は、「経営事項審査で失敗しないための事前チェックのポイント」というテーマで、インタビューを実施させて頂きます。よろしくお願いします。


こちらこそ、よろしくお願いします。まず、はじめに、私の事務所が東京都内にあり、東京都知事許可の建設会社からの依頼が非常に多いので、今回のテーマは、東京都の経営事項審査という点に絞って、お話をさせて頂きます。その点はあらかじめご了承ください。

「経営事項審査が思うように、うまくいかなかった」という建設会社からのご相談・お問合せが多いのは事実です。社長ご本人からご相談を頂くこともあれば、総務部の人や担当役員の人から、ご連絡いただくこともあります。多くの会社から、このような相談をいただいているうちに、「経営事項審査がうまく行かなかった原因」について、2つのパターンがあると感じています。


うまく行かない理由が2つに類型化されるということですね。


はい。私の経験則に基づくと、おおまかに2つのパターンに分類されます。

まず1つは、書類の準備不足やスケジュール管理の甘さといった、形式的な原因。そして2つ目は、申請内容や審査項目の理解不足といった実質的な原因です。うまく行かない会社は、形式的な原因か実質的な原因か、もしくはその両方で問題を抱えていることが多いと実感しています。

たとえば、申請書類の準備が不十分なまま、経審に臨めば、審査担当者から「この書類が足りません。追加で出してください。」と指摘されるのは当たり前です。また、経審の審査項目を十分に理解しないまま書類を作成し申請手続きを進めれば、極端に低い点数になってしまうこともあります。以降、何回、経審を受けても改善されず、結局、点数が伸びないまま入札からフェードアウトする会社もあります。

長年、建設会社の経審手続きを見ていると、このような理由で失敗している「いわゆるもったいない会社」が非常に多いと感じるのです。より具体的に今回のテーマである「経営事項審査で失敗しないための事前チェックのポイント」という内容に沿って、話を続けさせて頂きますね。


はい。とても興味深いです。続けてください。


申請書類の準備不足という形式的な面で言うと、たとえば、工事経歴書に記載した工事の「上位3件の工事実績」をきちんと準備できていない場合が多いです。経営事項審査の際には、「本当に工事の実績があるのか?」を確認するために、工事経歴書に記載した工事の実績を、「契約書」や「注文書・請書」や「請求書と入金記録」などの資料を提示して証明しなければなりません。

「契約書」などを提示して工事の実績を証明することができないと、希望した業種の完成工事高として売上を計上することができず、X1という評点にマイナスの影響を及ぼします。簡単に言うと、「本来、完成工事高に計上できたはずの売上を、完成工事高に計上できなくなる」とか「売上高が実際よりも低い状態で経審を受けざるを得なくなる」というとわかりやすいかもしれません。

これでは、到底、経営事項審査で良い点数が取れるはずがありません。何回も経営事項審査を受けたことがある人なら、当然分かることなのですが、はじめて経審を受ける会社は、こういった点について手引きの記載を理解できていない傾向があります。

そのほかにも、たとえば、技術職員名簿に記載した技術職員の常勤性を証明するために必要な「健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書」なども同じです。「健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書」は、技術職員の常勤性を証明するために必須です。にもかかわらず、「事前に準備ができていない」とか「準備するのに時間がかかる」となると、申請手続きがスムーズに進まないため、いつまでたっても、経営事項審査が完了しないという事態になってしまいます。なお、東京都の場合は、技術職員名簿に記載した技術職員だけでなく、建設業の許可要件である「経営業務管理責任者」と「専任技術者」についても、経審の申請の際に、「標準報酬決定通知書」によって、常勤性の確認が行われます。

いずれも、何回か経審を受けていくうちに、「前回よりも今回、そして今回よりも次回」というように準備に慣れてくることもあります。しかし、一方で、担当者が退社したり、異動になったりして、経験のない人が経審を担当するとなると、こういった問題が発生してきてしまいます。

また、これも重要なので、付け加えますが、経営事項審査の申請書類は、すべて税抜きで作成することが求められています。損益計算書に記載する完成工事高も、もちろん税抜きです。そのため、消費税確定申告書の課税標準金額より、損益計算書の売上高が大きい場合、つまり損益計算書の売上高が消費税確定申告書の課税標準金額を上回っている場合、その理由を説明しなければなりません。たとえば、「売上高の中に不動産売却で課税対象にならないものが含まれている」といったように。しかし、そもそも経審の書類は、税抜きで作成しなければならないという認識がない人は、税込みで申請書を作成してしまったり、売上高が課税標準金額を上回っている理由を把握できていなかったりして、申請がなかなか通らず、余計な時間を費やしてしまうという傾向があるのです。

こういった形式的なミスは、事前に手引きを読んだり、わからないことは都庁に問い合わせをするなりして、ある程度、カバーできる部分であると思っています。


ありがとうございます。必要書類の準備については、苦手意識を持っている人も非常に多いと思うので、大変参考になりました。それでは続いて、実質面でのチェックポイントをお聞かせいただけますでしょうか?


はい。

形式面でのチェックポイントについては、手引きを入念に読み込むことで、ある程度、ミスを回避することはできると思います。しかし、実質面でのチェックポイントについては、手引きを読み込むことでミスを回避するというよりも、何回か経験を積んで、学んでいくという方法しかないと思います。

たとえば、経営事項審査を申請する業種の選択です。以前、私が都庁で経審を受けている際、隣に座った建設会社が、16個の業種で経審を受審していました。どの業種で経審を受けるかは、申請者である建設会社の自由です。しかし、だからといって「16個の業種で経審を受けるのは、いかがなものか?」と思った記憶があります。16個の業種で経審を受けることによって、より公共工事の落札のチャンスが高まるのであれば、それでも構いません。しかし、「完成工事高の振替」などをして、2~3個に絞って、業種を申請した方が、より公共工事の落札の可能性が高まるはずです。

このように経営事項審査を申請する際には、どの業種を申請することによって公共工事の落札に近づくのか?という視点が重要になってきます。

また、経営事項審査で点数の取りこぼしがないようにするには、「その他社会性」の審査項目の中にある「建退協への加入」「中退共への加入」「法定外労災への加入」が必須といっても過言ではありません。この3つの制度への加入は、審査基準日という直近の決算日を基準に判断されます。例えば、決算日が過ぎてから「中退共へ加入」したとしても、今回の経審では加点事由になりません。経審申請日に間に合うように慌てて各種保険に加入したとしても、決算日時点で加入できていなければ、今回の経審での加点事由にはならず、次回以降、加点されるにすぎないのです。

これは技術職員の採用についても同じことが言えます。経審の際には、技術職員の人数や国家資格の保有状況も審査の対象になり、技術職員の人数が多ければ多いほど、加点されることになります。2級の資格者より1級の資格者の方が、加点率が高いです。ただし、加点の対象となる技術職員は、直近の決算日から遡って、3か月を超える期間、在籍していなければなりません。決算日直前に採用した人や、決算日を過ぎてから採用した人は、どんなに立派な1級の国家資格を持っていたとしても加点事由にはならないのです。

このような実質的なポイントについて、事前に調べることができないわけではないけれど、ある程度、いろいろな経験を積んで、実際に申請をしてみて学んでいくという姿勢が大事になってくると思います。

経営事項審査の点数が大きく改善した事例


なるほど、今までのお話で、経営事項審査には「形式面」と「実質面」両方の対策が必要だということがよく分かりました。実際にスマートサイドさんがサポートを行った建設会社さんの中で、経営事項審査の点数が大きく改善した事例があれば、具体的に教えていただけますか?


私たちのようなプロからすると、「形式面」「実質面」の両方に精通しているのが、当然なのですが、なかには、中途半端な知識のまま、お客さまから業務を受任してしまっている行政書士の先生もいらっしゃいます。実際にあった例でいくつかご紹介させて頂きますね。

まず1つ目は、「申請業種の選択」「売上高の振替」をまったく行っていなかったケースです。その会社は、「建築一式工事の許可」と「内装工事の許可」とそれ以外の「複数の許可」を持っていたのですが、お客さまのご希望が「建築工事での公共工事の入札」であったにも関わらず、すべての業種で売上高の振替を行わないで、経審を受けていたのです。

その会社の売上は、おおむね「建築一式:0円」「内装:2億円」でした。経審を受ける業種を「建築一式」に絞って、「内装工事」の完成工事高を「建築一式工事」の完成工事高に振り替えて申請すれば「建築一式:2億円」として経審を受けることができるのに、それをしていなかったのです。この会社が「内装工事で入札に参加したがっていた」のであれば仕方ありません。しかし、東京都の場合、大規模改修工事は「建築工事」として発注されますので、「内装工事」でどんなによい点数を取っていてもあまり意味がないのです。こういった点について、知識がないと、どんなに頑張っても公共工事の落札は、夢のまた夢といってよいでしょう。

また、別のケースでは、経審を受ける前に「3つの保険への加入」の案内をしていなかったケースもあります。もちろん、会社のさまざまな事情により「建退協」「中退共」「法定労災」のいずれかに加入しないという判断があったのかもしれません。しかし、経営事項審査を受審して公共工事を受注しようという会社にとって、この3つはマストです。あとから社長から聞いた話では、「経審の点数が400点台とあまりにも低かったので調べたところ、3つの保険への加入が、まるまる抜けていた」とのことでした。「事前に教えてもらえれば、経審対策として、どの保険にも加入したのに、もったいないことをした」と嘆いていましたが、次回の経審に向けて気持ちを切り替えるしかありません。

どちらの場合も、弊所が経営事項審査を担当することになってから、「失敗しないためのチェックポイント」を打ち合わせの際に説明し、状況が改善されました。点数が無駄に低くなるような状況はなくなり、その結果、どちらの会社も東京都の区の入札を落札できています。


2社とも公共工事を落札できているのですね。素晴らしい。


はい。とても素晴らしいことです。

もちろん、この2社が公共工事を落札できたのは、弊所の力だけでなく、営業の方の努力やそれを支える総務の方の工夫など、社長をはじめとした会社全体を上げての努力があったからにほかなりません。とはいえ、弊所が関与することになって、このような結果をもたらすことができたのは、大変喜ばしいことだと思っています。

お客さまの中には、私のYouTubeの解説動画や出版書籍を購入して一生懸命勉強してくださっている人もいらっしゃいます。経営事項審査で失敗しないためには、精度の高い情報を獲得することも必要だと思っています。


それでは、お時間になりました。最後に、横内先生の方から、何か一言あればお願いします。


そうですね。

建設会社にとって、一番不幸なのは、「何もわからないまま続けてしまう」ことだと思います。このインタビューで話した通り、経審で失敗しないための事前チェックのポイントは、さまざまです。専門家の私から言うと、やってもらいたいことは、他にもたくさんあるし、ここでしゃべり切れないこともあります。そんな中、「公共工事を落札したい」という熱意だけで進むと、思わぬミスや失敗に気づけないことがあります。だからこそ、正しい知識や事前準備が大切なのです。

この取材記事をお読みのみなさんが、着実に一歩ずつ前進し、公共工事を通じて事業をさらに発展させていかれることを心から願っています。

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