(インタビュアー:Y)
みなさんは、東京都の公共工事の入札について、興味はないでしょうか?公共工事は、経済の発展と社会の安定に不可欠な基盤を形成します。道路・橋・公共交通機関・水道・電力網など、どれをとっても、公共工事なしには、成り立たないほどの、重要な役割を担っているという点については、ご理解いただけることでしょう。
また、公共工事の手続が「役所による案件の公表」「建設会社の入札」「建設会社による案件の落札」「工事の施工」という流れで行われているのも、なんとなく、イメージできるはずです。
しかし、「案件の公表や建設会社の入札が、実際には、どのような仕組み・手続きによって行われているか?」と問われると、明確に回答できる人は、少ないでしょう。実際に公共工事を落札し、工事を施工している建設会社の社長でさえ、「手続き」や「仕組み」を十分に理解し、説明できる人は、なかなかいません。
そんな中、行政書士法人スマートサイドの代表行政書士である横内賢郎氏は、東京都の公共工事の「入札資格手続きの取得」という専門分野に特化して、事務所経営を行い、多くの建設会社を入札案件落札に導いている実績を持ちます。インタビュー中にも、何度も出てきますが、横内氏に言わせると、東京都の公共工事の「仕組み」を理解して「手続きを実践」することによって、案件落札の可能性が高まるという。
自然災害の多発、インフラの老朽化などに鑑みれば、公共工事は災害時のリスク軽減に寄与するばかりか、耐震性の高い建築物や最新の設備を備えた建物は、自然災害から人々の命を財産を守り、経済の回復力を高め、長期的には日本全体の経済の成長を促進します。
そんな「公共工事の魅力」を肌で感じている建設会社の社長も少なくないはずです。もちろん、公共工事を継続的に受注することによって、会社の経営は安定し、従業員はもちろんのこと社長自身の生活も豊かになるという側面があるのは間違いありません。しかし、公共工事には、上記に記したように、私益だけでなく「公益に資する・ひとさまのために役に立つ」という大きな役割があります。
そこで、このページでは、東京都の建設工事の入札参加資格を熟知した行政書士の横内氏にお時間を頂き、「公共工事」「入札資格」「入札資格を取得するための手続」について、徹底的に取材を行いました。読者のみなさんは、この記事を読むことによって、横内氏の専門知識や実績を、自社にフィードバックすることができるでしょう。そして、最後まで、記事に目を通せば、横内氏の、人柄や事務所運営の理念についても共感して頂けることでしょう。
それでは、早速、取材を開始します。
行政書士法人スマートサイドとは
―まずは、行政書士法人スマートサイドおよび横内先生について、ご存知ないかたもいらっしゃると思うので、簡単に自己紹介からお願いいします。
はい。私(横内)は、東京都文京区小石川で行政書士法人スマートサイドという行政書士事務所を経営しています。
2014年に行政書士登録をし、当初から、建設業許可の取得や経営事項審査の申請など、建設会社が必要になる行政手続きに特化して事務所運営を行ってきました。最近では、公共工事をはじめとした「入札資格取得のご依頼」が増えてきましたが、公共工事の手続をはじめとした、建設業許可の取得、建設業許可の更新、建設業許可関連の変更届などの「いわゆる建設業務」を事務所の専門分野としています。
行政書士事務所を法人化したのは、2021年7月です。個人事務所として私1人で属人的に業務を行うというより、法人組織として1つの案件を複数名で対応できるように、そして、より高度で難易度の高い案件に対応できるように専門化集団を形成したいという思いから法人化に踏み切りました。
入札資格について
―そうですか、ありがとうございます。当初は、個人事務所だったわけですね。それでは、行政書士法人スマートサイド(横内先生)が、専門業務としている入札資格の取得手続きについて、お聞かせください。
はい。
「入札」と聞くと、多くの人が建設会社の行う「いわゆる公共工事」を思い浮かべることと思います。ですが、「入札」は、「公共工事」ばかりではありません。たとえば、「物品の製造」「物品の販売」「役務(サービス)の提供」「業務委託」といったように、さまざまな分野に分かれているのです。その中の1つとして「工事」があります。
たとえば、「物品の製造」であれば、「精密機械の製造」「電子機器の製造」「医療品の製造」などがあります。「物品の販売」であれば、「文房具・事務用品類の販売」「警察・消防・防災用品類の販売」などがあります。「役務の提供」であれば「建物清掃」や「調査・研究」や「情報処理」などがあります。
このように「入札=公共工事」ではないというのが前提になります。もちろん、公共工事は建設会社がおこなうという点で、特殊性がありますが、「入札=公共工事」ではなく、「公共工事は、入札の1分類」と考えて頂くとよいかと思います。
建設業許可・経営事項審査について
―入札と一言でいっても、さまざまな分野があるのが理解できました。それでは、公共工事の入札について、ご説明頂けますでしょうか?
まず、「公共工事の入札」と「それ以外の入札(物品の製造や役務の提供)」との大きな違いは何かというと、「公共工事の入札」は、建設業許可を持っている建設業許可業者しか行うことができないという点です。
―建設業許可?
はい。
せっかくの取材なので、「入札参加資格」の話に入る前に、「建設業許可」や「経営事項審査」についても、お話しさせて頂きます。まず、建設業許可についてですが、建設会社が、500万円以上の工事を請負・施工するには、建設業許可がなければなりません。建設会社は、建設業をおこなうことはできるのですが、建設業許可がなければ500万円以上の工事をおこなうことができないルールになっています。
これは、建物の建築をはじめ、道路の舗装や解体といった工事は、ひとつ間違えると公衆に危害を加えかねないという側面があることに起因します。「建物を建てたら欠陥だらけだった」とか「解体工事の途中で大きな事故が発生した」となると、発注者に迷惑がかかるだけでなく、周辺住民はもちろんのこと、経済的なダメージも発生します。そのため、建設業法は許可制度を設けて、一定の割合、つまり500万円以上の工事を請負・施工するには、建設業許可が必要であるという制度設計にしたのです。
公共工事の入札は、まずは、建設業許可を持っている許可業者であることが前提になります。
―建設業許可については、よく理解できました。さきほど、出てきた「経営事項審査」というのは、何なのでしょうか?もしかして、建設業許可を持っているだけではダメで、「経営事項審査」というのを受けていないと入札に参加できないとか?
勘が鋭いですね。さすが、取材・インタビュー経験が豊富なだけあって、先が読むのがうまいです。
おっしゃる通り、公共工事の入札に参加するには「建設業許可」を持っているだけではダメで、「経営事項審査」を受けていないとダメなのです。経営事項審査は、建設業法の27条の23に「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。」と規定されています。建設業法の条文が出てきたことで、かなり難しく感じたかもしれませんが、要は、「公共工事の入札に参加するには、事前に経営事項審査を受けていなければなりません。」というルールがあると理解して頂ければよいのではないかと。
「経営事項審査」について、少し詳しく解説すると、公共工事の入札に参加するには、年に1回、かならず、経営事項審査を受けて、その結果通知書を受領していなければならないのです。経営事項審査で審査の対象となるのは、「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」の4つです。
―ちょっ、ちょっと待ってください。読者のみなさんにも理解できるように、ここまでを少しまとめると、公共工事の入札に参加するには、建設業許可だけでなく経営事項審査が必要で、その経営事項審査というのは、建設会社の「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」が審査されるという認識で合っていますね。
はい。その認識で合っています。さすがにこのあたりになると、手続きを代行している行政書士の先生の中にも理解できていない人がいるくらい難しい箇所ですので、素人の人が難しく感じるのは、無理もありません。
ですが、話を先に進めますよ。心して聞いてください。
経営事項審査では、会社の「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」が審査されます。これは、許可行政庁(東京都知事許可であれば東京都庁)に申請手続きを行います。
- 「経営規模」は、「業種ごとの平均完成工事高」および「自己資本額・利益額」
- 「技術力」は、「業種ごとの元請完成工事高」および「技術職員の人数」
- 「社会性」は「建設工事の担い手の育成および確保に関する取組状況」および「建設業の営業継続の状況」など
- 「経営状況」は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」
をそれぞれ、加味して会社ごとの点数(総合評定値=P点)を算出します。
この総合評定値P点は、経営事項審査の結果の点数のことを言います。経営事項審査を受け終わると、数週間後に経営事項審査の結果通知書が送られてくるわけですが、その結果通知書にP点が記載されています。
より簡単に分かりやすく説明すると、「経営事項審査」というのは、年に1回の健康診断や、学年末テストに似ているということができます。みなさんは、学生時代に学年末テストを受けましたよね。社会人になってからも、年に1回くらいは、健康診断を受けていますよね。学生であれば、学年末テストの点数・成績に一喜一憂すると思うのですが、われわれ社会人であっても、年に1回の健康診断の数値が悪いと、「ガク」っとなるじゃないですか?
公共工事の入札資格を取得するための事前準備である経営事項審査も、建設会社の「学年末テスト」「健康診断」ととらえると、よりイメージがわくと思います。そして、経営事項審査の結果である総合評定値P点が、建設会社のテストの点数、健康診断の点数と考えると、わかりやすくないですか?
―たしかに。ちょっとイメージが湧いてきました。「経営事項審査」が建設会社の「健康診断・学年末テスト」で、「経営事項審査の結果である総合評定値(P点)」が、「健康診断の結果・テストの点数」と理解すれば良いのですね。ただ、なんで、わざわざ、そんな審査を受けないといけないのでしょうか?
なぜ、経営事項審査を受けないと公共工事の入札に参加できないのか?という話ですね。この点については、私が過去に執筆した「はじめての方のための経営事項審査入門書」にわかりやすく解説しているので、その箇所を引用させて頂きます。
公立小学校を解体したり、市役所の外壁を塗装したり、公道下の水道管を取り替えたりといった公共工事は、民間工事と異なり、税金を使って行われます。税金を使って行われる以上、無駄なく・無理なく・確実に行わなければなりません。そのためには、公共工事を請負う建設会社の「技術者数」「過去の経験」「財務状況」などが非常に大事になってきます。
公共工事を請負ったものの「工期が大幅に遅れたり」「途中で倒産したり」「工事が完成してみたら欠陥だらけだった」のでは、みんなが困ってしまいます。また、たとえば、10億円規模の公共工事を、年間工事実績1000万円程度の会社に施工(落札)させるわけにもいきません。
そういった事態を事前に防止するため、①公共工事の入札に参加する会社には経審を受けてもらい、②経審の結果である総合評定値P点で、会社ごとの等級や順位の格付けを行い、③公共工事の発注額に応じて、入札に参加できる会社をグループ分けしているわけです
なんとなく理解できましたでしょうか?経営事項審査を受けて、結果であるP点が出てきたら、そのP点を使って、公共工事の入札に参加できる会社を「A」「B」「C」「D」というようにランク付けしているわけです。これを等級・格付けと言ったりしますが、経営事項審査の結果である総合評定値P点は、等級・格付けの材料に使われているわけです。
公共工事の等級・格付けについて
―「A」「B」「C」というランクのことだったら、私も聞いたことがあるような?「等級を上げたい」とか、「DじゃなくてCがいい」とか、そんなことを知り合いの建設会社の社長と話したことがあるような気がします。
その建設会社の社長との話を、もう少し深掘りさせて頂きますね。東京都に限らず、埼玉県や神奈川県といった他の自治体でも、「等級と発注標準金額」というのが公表されています。聞きなれない言葉がたくさん出てきますので、わかりやすく説明すると。
東京都の場合、先ほどの経営事項審査の結果である「総合評定値P点」と「過去最高完成工事経歴の税込み金額」を総合考慮して、等級や順位の格付けを行います。これにより、入札参加資格を有する会社には、業種ごとに等級・順位が付与されます。その等級(または順位)ごとに、あらかじめ入札に参加できる「発注標準金額」が大まかにグループ分けされています。
たとえば、東京都の建築工事であれば、「A等級の発注標準金額は、4億4千万円以上」「B等級の発注標準金額は、2億2千万円以上4億4千万円未満」「C等級の発注標準金額は、6千万円以上2億2千万円未満」「D等級の発注標準金額は、1千6百円以上6千万円未満」「E等級の発注標準金額は、1千6百円未満」というように公表されています。
この等級は、経営事項審査の結果である「総合評定値P点」と、東京都への入札参加資格を申請する際に入力が必要な「過去最高完成工事経歴の金額(税込み)」の総合考慮によって決められます。実は、東京都の公報を見ると、等級の決め方が、かなり詳細に記載されているのですが、ここでは、「経営事項審査の結果の総合評定値P点」と「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」と理解して頂ければ結構です。
たとえば、経営事項審査の結果が悪かったせいで、「Eランク」になってしまったようなケースでは、その会社は「1千6百万円未満」の建築工事の入札にしか参加できないわけです。もちろん、発注者である東京都が、実際の案件で等級・格付け以外に、別の条件を付けていないかという点については、慎重に確認する必要があります。ただ、さきほどの建設会社の社長が、「1千6百万円未満ではなく、1億円くらいの公共工事の入札に参加したい」と思ったなら、等級が「E」から「C」にランクアップするような対策を取らなければならいないことになります。
―等級がランクアップするような対策とは、具体的に、経営事項審査の点数を上げるということですか?
はい。その通りです。
先ほどまで、説明した通り、等級は、「経営事項審査の結果の総合評定値P点」と「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」を総合考慮して行われます。等級を上げたい、すなわち、より大きい公共工事にチャレンジしたいと思った場合には、
- 「経営事項審査の結果の総合評定値P点」をあげるか?
- 「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」を上げるか?
のどちらかの対策を取らなければならない。
「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」は、そう簡単に上げることができないかもしれませんが、「経営事項審査の結果の総合評定値P点」であれば、やり方によっては結果が変わってくる。点数を上げることができるというのが、私の感覚です。
―経営事項審査の結果は、やり方によって異なるということですか?経営事項審査は、だれがやっても同じではないと?
はい。経営事項審査は、書類作成の仕方や申請の仕方によって、大きく変わってきます。ここが、専門家としての腕の見せ所で、私たちの事務所のように、建設会社の公共工事に関する手続きを専門にやっているところと、そうでないところの実力の差が如実に表れるところなのです。
たとえば、経営事項審査の評価対象となる「経営規模(業種別の完成工事高)」は、2年平均か3年平均かを選択することができます。また、業種によっては内装工事の売上高を建築一式工事の売上高に振り替えることができたり、とび・土工・コンクリート工事の売上高を土木一式工事の売上高に振り替えることができるといったルールもあります。
さらに、自己資本の額も「基準決算」か「2期平均」か、というように、自社にとって有利な方を選択することができます。
―なるほど、自社に有利な申請の仕方をすることによって、P点を上げることができて、結果的には等級を上げることができる。そして、より大きい規模の公共工事にチャレンジできる可能性が広がるということですね。
はい。
経営事項審査の結果である総合評定亭P点を上げるための対策は、「経営規模(業種別の完成工事高)」にとどまりません。例えば、
- 1級の資格を持っている人を採用したり、元請工事の割合を多くすることによって「技術力」の評点を上げることができる。
- 「法定外労災の加入」「建退協への加入」「自社退職金制度の充実」などの対策を取ることによって「社会性」の評点を上げることができる。
- 財務諸表の「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」を見直すことによって「経営状況」の評点を上げることができる。
といったように、より高い点数を取得するための対策が色々あるわけです。
経営事項審査の結果である総合評定値P点は、「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」の4つから成り立っていますから、各審査項目の評点を上げることによって、P点を上げることができるのです。
ところが、多くの建設会社の社長は、「売上高」ばかりに注目して、売上高を上げる努力をしてしまいがちです。しかし、あくまでも売上高は、経審の際の、審査項目の1項目にすぎないわけですから、他の審査項目に注力したほうが、よっぽど簡単に点数が上がるというケースが少なくない。
実際に弊所で受任したケースでは、業種間の売上高の振替を利用してP点が100点以上アップしたケースや「社会性」の審査項目の対策をとっただけでP点が43点もアップしたケースがあるくらいです。
―それはすごいですね。
すごいなんてものではないですね。今までは、自社で手続きを行っていた、もしくは、他の行政書士事務所に依頼していたということですが、経営事項審査の仕組みを理解して、手続きに落とし込んでいれば、こんなもったいないことをせずに済んだのにと。やはり、こういったことは、専門家でないと気づけない、気づきようがないのではないか?と思った次第です。
東京都への入札参加資格の申請
―経営事項審査の奥深さについて、よく理解できました。ただ、「経営事項審査を受ければ、東京都の入札に参加できる」というわけではないですよね。そのあたりに話を進めて頂けますでしょうか?
いつの間にか、時間が経っていましたね。経営事項審査の話になると、つい力が入って、熱く語ってしまいます。
話を先に進めると。経営事項審査を受けたからと言って、東京都の入札に参加できるようになるわけではありません。東京都の公共工事の入札に参加するには、「建設業許可業者であること」「経営事項審査を受けて結果通知書を受領していること」という2点が必要条件でしたが、それだけでは十分ではありません。
東京都の公共工事の入札に参加するには、東京都電子調達システムを利用して、東京都の入札参加資格を申請し、入札参加資格を取得しなければなりません。ここで、入札参加資格の取得手続きをすこし詳しく、お話しします。
東京都の入札参加資格申請は、電子申請になっています。そのため、東京都に入札参加資格を申請をするには、「入札用の電子証明書」と「ICカードリーダ」を事前に購入してパソコンの環境設定を行わなければならないのです。
―というと?
もう少し詳しく説明すると、民間認証局が発行している「電子証明書」と「ICカードリーダ」を購入して、パソコンの環境設定を行い、PIN(暗証番号)を入力して、ログインできるようにならないと、入札参加資格を取得するための申請ができないのです。「申請書類を郵送、持参すればよいのではないか?」と思う人もいるかもしれませんが、「書類の郵送や持参」は受け付けていないのです。東京都の場合、「東京都電子調達システム」を利用した「電子申請」でしか、入札参加資格の取得をすることができないのです。
そのため、東京都の入札参加資格を取得するには、「電子証明書」「ICカードリーダ」「パソコンの環境設定」の3セットが必要だというように理解しておくとよいと思います。
―う~ん。ちょっと、仕組みが複雑ですね。東京都に入札参加資格申請を行うには、「電子証明書」「ICカードリーダ」などの備品の購入が必要という理解ですね。建設会社の社長やご高齢の人には、パソコンの設定が苦手な人が多いと思いますが…
はい。経営事項審査の手続きに時間や労力がかかる上に、さらにそのあとに、電子証明書やパソコンの環境設定が必要となると、道のりは長いです。弊所では、経営事項審査の代行だけでなく、電子証明書やICカードリーダの購入申込・受取代行や、パソコンの環境設定というサービスも代行して行っています。
先ほども話ましたが、東京都電子調達システムにログインできないと、入札参加資格申請ができません。エラー画面が表示されたり、アラートが出たり、画面が先に進まなかったりということがよくあるので、このあたりのパソコンの環境設定も、まとめて、弊所にご依頼頂くお客様が圧倒的に多いですね。
―そうすると、もろもろのパソコンの環境設定が終わったら、やっと、東京都の入札に参加できるということですか?
少し違います。正確に言うと、もろもろのパソコンの環境設定が終わって、東京都に入札参加資格を申請します。その入札参加資格申請が無事「承認」されたら、東京都の入札に参加できるという流れです。もちろん申請の仕方が悪いと、せっかく申請しても、承認されずに、否承認となってしまうこともあります。
先ほど、「A」「B」「C」という格付けは、「経営事項審査の結果の総合評定値P点」と「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」を総合考慮して、決定されるということを言いましたが、東京都の入札参加資格を申請する際には、「資格を取得する業種」や「税金の支払い状況」や「会社の社員の人数」のほかに「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」も入力して申請することになります。
これでやっと、東京都の公共工事の入札参加資格を取得するための手続きが完了することになります。
入札がうまく行く会社、そうでなない会社の違い
―いや~。長かったですね。これを実際にやるとなるとどれだけ時間がかかるのか?という感じです。
そうですね。建設会社の社長の中には、結構簡単に「入札に参加したい」とおっしゃる人がいるのですが、「入札に参加するにはこれだけの手続きが必要だ」ということがお分かりいただけたと思います。しかも、入札参加資格の取得が、ゴールなわけではありません。入札参加資格を取得して初めてスタートラインに立つことができたわけです。その後は、案件を検索して、実際に札入れをして、競合他社と戦って、案件を落札しなければならないわけです。
―そうですね。ところで、横内先生から見て、案件を落札できる建設会社とそうでない建設会社の違いみたいなものはあるのでしょうか?
とてもよい質問ですね。実は、これこそが、今日のインタビューで私がみなさんにお伝えしたかったことなのです。
公共工事を安定して落札できている会社もいれば、1度チャレンジしただけで、フェードアウトしてしまう会社が、やはり、いるんですね。うちの事務所としても、手続きを依頼してくれたからには、すべての会社に、案件を落札して、売上を上げてもらって、いわゆる「おいしい思い」をしてもらいたいと切に願っているわけですが、そうはなっていないようです。
わたしも、公共工事の入札参加資格の専門家として長年にわたって、たくさんの会社のサポートをしてきましたが、両社の違いは【東京都の公共工事の仕組みを理解して、手続きを実践できているか否か?】にあると考えるようになりました。
先ほどもお話ししましたが、東京都の公共工事は、事前に「等級」と「発注標準金額」が定められていて、「自分の会社が何等級だと、どれくらいの金額の公共工事にチャレンジすることができる」ということが事前に分かるわけです。しかし、実際に、こういったこと理解して、対策を立てている会社は多くない。むしろ少数派といってよいでしょう。
さらに、「等級」は、「経営事項審査の結果の総合評定値P点」と「過去最高完成工事経歴の請負金額(税込み)」を総合考慮して、決定されていて、もし、自分の会社の等級を上げたいのであれば、P点を上げるか?実績を上げるか?の2つの対策に絞ることができる。自分の会社が効率よく等級をあげるには、どちらがよいのか?ということは、必然的に決まってくるわけです。
仮にP点を上げたいのであれば、「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」のどの評点を上げればよいのか?また、どういった申請の仕方をすればよいのか?そして、どういった対策が効果的か?ということが見えてこないといけない。
継続して受注できている会社というのは、そのあたりの対策をきちんと専門家がサポートできているというイメージです。逆に、上記のような知識に乏しかったり、対策を怠っていたりする会社は、なかなか、案件落札に至らず、途中で挫折してしまう傾向が多いように思います。
―そうでしたか。そろそろお時間です。横内先生の方から何か、読者のみなさんへのメッセージはありますか?
それでは最後に。
経営事項審査や入札参加資格の申請は、だれでもできる簡単な手続きではありません。ましてや、経営事項審査の結果である総合評定値P点は、申請の仕方次第で、大きく変わってくるのに、その点について、十分に理解できている行政書士(専門家)は、多くありません。行政書士という資格を持っていても、建設業や公共工事の入札について、不慣れな人が多いのが現状です。
それに比べると、行政書士法人スマートサイドは、公共工事の入札について、専門特化した事務所経営をしており、手続きの一切をサポートさせて頂くことが可能です。事務所の理念に「入札環境を整えて、お客さまの利益に貢献する」と掲げているくらいです。
具体的には、経営事項審査や入札参加資格申請といった東京都に対する申請手続きはもちろんのこと、入札用電子証明書やICカードリーダの申込み・受取代行、御社のパソコンの環境設定などにも対応させて頂くことが可能です。
行政書士法人スマートサイドでは、東京都の公共工事の入札資格でお困りの方のために、事前予約制の有料相談を設けております。1時間11.000円で、手続きの流れはもちろんのこと、東京都電子調達システムの案件の見方や、等級格付けの基準について、ご案内させて頂くことが可能です。
また、すでに行政書士の先生に手続きを依頼していたり、自社で手続きを行っている会社でも、そのやり方があっているか?というセカンドオピニオンとして、弊所の有料相談をご利用頂くことができます。このインタビュー記事をご覧いただいたことも何かのご縁かもしれません。お困りの際は、ぜひ、スマートサイドの有料相談をお申込みください。
―そうですね。これだけの専門的知識を聞けるのであれば、11.000円という相談料は安いかもしれませんね。これから東京都の公共工事にチャレンジしたいとお考えの方には、ぜひ、私からも、有料相談のお申込みをお勧めしたいと思います。本日は、長時間にわたってありがとうとございました。
こちらこそ、ありがとうございました。このインタビューが記事になるのを楽しみにしています!